ラレコ山への道:国際交流員「目からウロコ」

アメリカの健康保険

2009年11月

 最近、アメリカには医療制度が大きい問題になっています。優れた医師や設備がたくさんあるのに、値段が高くて治療を受けられない人が増えています。オバマ大統領の国内政策の主な目的は医療制度の改革ですので、アメリカの政府は医療に関する法案を考えています。

 現在、アメリカには誰でも入れる国民健康保険がありません。多くのアメリカ人は保険会社の保険に入りますが、個人で入ることより勤めている会社に入れてもらうことが普通です。昔は会社が社員の保険の費用をほとんど払ってくれましたが、医療の値段が高くなっているため、社員が払う分も多くなっています。それに保険の費用が高すぎて、社員の保険を廃止してしまった会社もたくさんあります。お年寄りや収入の低い人のための社会保険もありますが、予算が足りないので需要に応じられません。

 今、どんな健康保険にも入っていないアメリカ人が4700万人います。その中の860万人が子どもです。実は私も日本に来る前、健康保険に入ったことがありませんでした。保険がなければ、普通の治療や診察が高すぎて、ほとんど受けられません。救急の時以外に、保険に入っていない人は病院に行く機会があまりありません。

 保険に入らない理由がいくつもありますが、ひとつは金額です。保険が高いから、会社の保険がないと入れない人が多いのです。企業は保険会社と交渉して、社員の保険をある程度安くしますが、個人で入ろうとする人はそのような交渉ができません。それにどんなにお金があっても、重い病気にかかっている人や病気や怪我をする危険の高い人は保険会社に断れることもあります。

 オバマ大統領の目的は、すべてのアメリカ人が保険に入ることです。しかし、これは大変果たしにくいことです。アメリカの医療制度が変わらなければならないと思っている人は少なくありませんが、変わらないでほしい人もたくさんいます。例えば、既に保険に入っている人は値段の増加か保険会社の解散を恐れて、余計な変更を反対しています。国民保険の制度になったら、不法滞在者が税金を払わないで保険に入ってしまう可能性を恐れる人もいます。

 医療制度の改革を求める人にとって大きな問題は、今、医療制度に関する信頼できる情報があまりないことです。オバマ大統領の計画について詳しい情報がほとんどないので、一般のアメリカ人はこれからの医療制度がどうなるかがわからなくて、不安になってきました。ニュースを見ても、インターネットで調べても、事実より人の意見や予想が圧倒的に多いです。オバマ大統領も得意なスピーチで健康保険の大切さや医療制度の改革の必要性をよく語りますが、自分の計画をちゃんと説明してくれません。

 アメリカは間違いなく、医療制度を考え直さなければなりません。保険に入っても、医療の値段がどんどん高くなっています。何かが変わらなかったら、治療を受けられない人がさらに増えてしまいます。アメリカには優れた医師といい病院や設備が当たり前なものかもしれませんが、医療費が払えない人にとって、素晴らしい医者が何人いても意味がありません。今の医療制度がこのまま続いたら、医療がお金持ちだけの特権になってしまうと思います。


目からウロコ

 新しい車を買いました! 今まで古くてボロボロになっている安い中古車しか買ったことがないけど、今度はもうちょっといい車にしました。広くて便利な軽自動車です。あまり速く走りませんが、燃費がけっこういいです。ドライブを今から楽しみにしています!

(2009年11月 COLARE TIMES 掲載)

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