ラレコ山への道:国際交流員「目からウロコ」
コラーレ倶楽部
アクティブグループの部屋
COLARE TIMES
#05 アメリカのキャンプ文化について
2024年6月
少しずつ気温が上がり、夏が近づいてきましたね。夏と言えば、今回はアメリカでのキャンプ文化とその歴史を紹介します。自然豊かな国土では、定番の野外活動の中でも、キャンプは特に人気があるということは驚くことでもないですね。
現代流のキャンプの始まりは19世紀後半頃ですが、一般人に流行し始めたのは20世紀の始め頃でした。流行の大きな理由は3つあります。まず、産業革命中のアメリカでは、都会に引っ越した人々が多くなればなるほど、自然に憧れる人々も増えてきたこと。次に、道路の拡大と自動車革命のおかげで、多くの家庭で車を手に入れるようになったこと。最後に、自然保護(Conservationism)というイデオロギーが徐々に政治家に影響を与えた上、アメリカの自然と在来種を守るために様々な国立公園(National Parks)を確立したこと。これら3つの理由から、車さえあれば、簡単に国立公園の公共キャンプ場に通って、野外での生活を体験できることになりました。
家族の間で流行ってきたと同時に、様々な団体が子供向けにキャンプ・プログラムを行うようになり、YMCAやボーイ・スカウト(Boy Scouts)などの行事が非常に盛んになりました。野外教育が青少年達の人格形成と自立性に良い影響を与えると考えられたからです。なお、キャンプファイヤーとお料理の作り方、テントの張り方、ポケットナイフと斧の使い方、方位磁針と地図の読み方、魚のさばき方等というスキルは100年前と同じで、私も数年参加した間に学びました。野外生活に必要な技術を習った上、「Leave no Trace(足跡を残さない)」と言う考え方も身につけるようになりました。こうして、この先の人々が自分たちと同じように楽しめるよう、自然環境に配慮を払うべきだという考えが定着しました。
現在では、個人の都合や野外生活の知識に合わせて、キャンプの種類は色々あります。本格的なキャンプよりGlamping(グランピング:GlamoriousとCampingの合成語)をしたい人は、電気と人工的な水道やトイレ等があるキャンプサイトを使ってもいいし、テントよりキャンプトレーラーで寝泊まりするという選択もあります。そして、もっと本格的に野外生活を体験したい方にはバックパッキング(または登山中キャンプ)というやり方も人気あります。その名の通り、車を使わず、自分が運べるだけの道具で自然の奥に行く方法です。かなりハードコアなやり方ですが、それこそ近代生活に疲れて自然に慰安を見つけたい方には魅力がある、ということも言われています。
2016年夏、MCAサマーキャンプに参加して、約2週間ほどロッキー山脈でバックパッキングを体験しました。