ラレコ山への道:国際交流員「目からウロコ」

#15 カナダと欧州の終戦記念日「もう二度と要らない戦」

2013年11月
 11月11日、日本ではポッキー&プリッツの日だそうです。カナダとヨーロッパではその日、「第1次世界大戦停戦記念日」です。1918年のこの日、ドイツとアメリカ合衆国が停戦協定に調印し、4年あまり続いた第1次世界大戦が終結しました。ヨーロッパの人とカナダ人も両方、「もう二度と戦争は要らない」と言いましたが、20年経ったら第2次世界大戦が始まりました。中身のない願望だった気がします。今でも、世界中で戦争が続いています。シリア内戦、アフガニスタン、イラク、ソマリア……。戦争になりそうなところもたくさんあります。結局、戦争が終わりません。戦争が嫌いな私にとっては、悔しいです。
 でも、私は絶望はしません。子どもの頃を含めても、暴力を一度も使ったことはありません。見たことは何回もありますけどね。そして、今回のこの「目からウロコ」は、戦争に関する小説に載っている私が感動した言葉を、皆さんに紹介したいと思います。

■ 第1次世界大戦に参加した、トールキン(Tolkien)の言葉
 トールキンは、世界的に有名な作家です。軍人として第1次世界大戦に参加しました。「あの戦のとき、皆はオルク(ヨーロッパの悪魔の一種)だった」と言っています。
 トールキンの一番有名な作品は、映画にもなった「指輪物語(原題:The Lord Of The Rings)」だと思います。読者の多くはこの小説を第1次世界大戦の例えだと思っていますが、トールキンは認めませんでした。私も例え話だとは思いません。ただの小説で、どんな意味にもとれると思います。そして本には、こんな言葉が載っています。

War must be, while we defend our lives against a destroyer who would devour all; but I do not love the bright sword for its sharpness, nor the arrow for its swiftness, nor the warrior for his glory. I love only that which they defend: the city of the Men of Numenor; and I would have her loved for her memory, her ancientry, her beauty, and her present wisdom.
「世界を全て消滅させたい悪魔から我々の命を守るために、戦は要ります。しかし、輝いている剣の鋭さ、矢の速さ、戦士の誇り、それらが好きなわけではありません。それらが守ってくれる物、ヌーメノールの人々(自分の民族)の都を愛している。この都の想い、古さ、美しさ、知恵を、愛して欲しいと思う」
J.R.R. Tolkien(トールキン)作 「指輪物語」より ファラミア(Faramir)の言葉
 戦争に関する言葉の中で、私が一番好きな言葉です。やっぱり大事なのは誇りではなく、居場所と仲間を守ってあげることだという言葉です。暴力をふるったり居場所を無くそうとする者がいて、それから逃げる場所がないのであれば、立ち向かうしかありません。そして、それ以外の理由では、戦いは要らないと語っています。
 登場人物のファラミアの言葉で、もう一つ好きなところがあります。国ではなく「都」という言葉を使います。土地のことではなく、人間が住んでいる「都市」、町のことを考えています。私も同感です。土地より都市を優先します。

■ 中南米のアメリカによる内戦を調べた、ローゼンフェルダー(Rosenfelder)の言葉
 ローゼンフェルダーは日本であんまり知られていませんが、私が大好きなアメリカ人の作家です。いろんなことを調べたり、考えたりして、現実にありそうな魅力ある世界の話を書きました。元々は、テーブルRPGのための世界です。奥さんはインカ系ペルー人で、アメリカが抱えた中南米の内戦について調べたことがあり、アメリカの政治についてよく書いています。彼は言語について詳しく、言語の習得についての記事も書いており、私の外国語の講座の参考書として使いました。

Cu jue auliri na nansu omuc. Jue palaci biacudo li sigosudo li kuvetudo mucauc nowsudo. To bunjisu jes cu to bum o naus tetiy na dopali auliri mucauc pali andes. Andeym, sudzu ga, ramasu cu ces playnu Asune jese na dejuc. Cu yatuc na ramasu tes tas cinde dmuna sum na auliri jic ze?
「愚かな人は戦をめでたいと思っているが、戦は貧弱さと疲れと暴力と消滅に限る。人の首を切るのは牛を殺すことよりめでたくないし、簡単だ。悪魔は昔、我々の先祖を殺し合わせた。悪魔がいなくなっても、お互いに殺しあい続けるのがめでたかろうか?」
Mark Rosenfelder(マーク・ローゼンフェルダー)作 「アルメア宗教参考書」より ナウニ・チェイキルツの言葉

 この言葉の中で一番好きなのは、戦いの結果を表す言葉です。貧弱さ、疲れ、暴力、消滅……。つまり、戦は物事を壊すだけの行動です。前に述べたように、破壊しようとする者から愛する物を守るべきですが、それでなければ、戦はしないほうがずっとめでたいという言葉です。

 1月11日、カナダとヨーロッパの人は第1次世界大戦の終わりを祝います。でも私は世界中に戦争がなかなかなくならない状況を思い出します。そして、ここで紹介した言葉などをもう一度読んで、戦争のこととそれをやめさせる方法がないかを考えたりします。「もう二度と起こらないように」という言葉ではなく、「どうやって戦争をやめさせるのかを考えてほしい」という言葉でその日を過ごします。そしてその第1歩は、異文化の理解だと思います。

※トールキンの言葉は皆さんご存知の「英語」で、ローゼンフェルダーの言葉は作家が作成した人工言語のツラウ語です。




エニールツ  左は、ローゼンフェルダーの小説に登場する主人公「エニールツ」。右は、マーベルコミックスの有名なカナダ出身と言われる「ウルヴァリン」というキャラクター。ハロウィンの季節、エニールツの格好で保育所を回り、パーティーにはウルヴァリンの格好で参加しました。




ろうそくと目玉のサラダ  10月24日の国際交流ワークショップで作ったハロウィン料理のひとつ。人参や玉子を使った「ろうそくと目玉のサラダ」です。見た目はちょっと気持ち悪いかもしれませんが、皆さんおいしく食べたそうです。他には、「ミイラの指」「ミイラ・ミートローフ」「叫びパン」などもありました。




日本エスペラント大会  10月12日から14日まで東京に旅行して、第100回の日本エスペラント大会に参加しました。この写真には、いろいろな国の人が写っています。その共通語は「エスペラント」という言葉です。3日間、とても楽しかったですよ。来年の第101回の大会は、福井県小浜市で開催されるので、すでに行くことにしています。楽しみ!

(2013年11月 COLARE TIMES 掲載)

 
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