ラレコ山への道 小野木豊昭 古典空間への誘い

【其の八拾】11月1日は何の日?

2013年11月

ステージから客席へ、アーティストたちの磨き上げられた「芸」(=メッセージ)が披露される、その芸を受け止めた観衆聴衆が熱い想いをステージに投げ返す、その想いを受け止めたアーティストから更なる熱いメッセージが送られ、ステージと客席に間に不可視の火花が散る……。そんな「劇場・舞台空間」に身を浸せた時、私たちは明日への精神的活力の糧を得ることができるのです。アートやエンターテインメントが社会に不可欠の存在と言われる理由であり、それを日本の「伝統・古典」芸能の世界で実現させたい、という想いから平成元年に命名した私たちのプロジェクトが「古典空間」なのです。

ところで、先日高校生から「古文と古典とどう違うの?」と聞かれ思わず、「“古文”は過去、特に江戸時代以前に書かれた文や文章全体のこと。“古典”は過去に書かれた文や文章で、時を経ても、場所が変わっても、ズシンと胸に響くインパクトを持った作品!」と答えました。「古典」という言葉は、どこか重く厳(いか)めしく厳(おごそ)かな雰囲気を持っているせいか、中学・高校で“覚えること”を強要されることが多い「古文」の授業を想起させるせいか、敷居が高くとかく敬遠されがちです。当初、私もこの言葉の意味を明確に言語化することはできませんでした。しかし20数年間芸能と向き合ってきた結果、最近は「古典」という言葉を改めて次のように解釈しています。

過去、日常生活の延長上に生まれ育まれた文化であり、時代を経て、異なる文化圏の人々が受け止めても、良質な刺激として、明日を生きる人々の思考や活力の源となるもの。

皆さんは11月1日が「古典の日」であることをご存知でしょうか? 第180回国会において「古典の日に関する法律」として成立し、平成24年9月5日に平成24年法律第81号として公布、施行されたのです。その第二条では「古典」を次のように定義しています。

第二条 この法律において「古典」とは、文学、音楽、美術、演劇、伝統芸能、演芸、生活文化その他の文化芸術、学術又は思想の分野における古来の文化的所産であって、我が国において創造され、又は継承され、国民に多くの恵沢をもたらすものとして、優れた価値を有すると認められるに至ったものをいう。

そして、第三条として「古典の日」をこのように謳っています。

第三条 国民の間に広く古典についての関心と理解を深めるようにするため、古典の日を設ける。
2 古典の日は、十一月一日とする。
3 国及び地方公共団体は、古典の日には、その趣旨にふさわしい行事が実施されるよう努めるものとする。
4 国及び地方公共団体は、前項に規定するもののほか、家庭、学校、職場、地域その他の様々な場において、国民が古典に親しむことができるよう、古典に関する学習及び古典を活用した教育の機会の整備、古典に関する調査研究の推進及びその成果の普及その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

今年も11月1日、全国各地で「古典の日」関連のイベントが行われます。
2020年、オリンピック招致が決定した東京都でもますます「伝統」「古典」という言葉の持つ意味を見直し、開会式等に象徴される「文化イベント」としてのオリンピックを盛り立ててゆこうという機運が高まっていることは事実です。しかし日本の現代社会は、日に日に日本文化の色彩が薄まりゆくことに歯止めの効かない状況にあることも厳然とした事実です。さらに、長い年月をかけて受け継がれてきたものや考え方を俄(にわ)かに受け止めることは困難であることも事実です。自らの文化に目を向けない人々が大多数の国で、果たしてオリンピックが成立するのでしょうか?

ゆえに今こそ「古典」の持つ意味を再考し、法律はともかく日常生活のレベルで「古典」を身近に感じる機会を、大きな危機感を持って現実的かつ積極的に創出してゆくことが急務と考えるのです。

「邦楽へのいざない」古典文学の情景 チラシ

チラシ(1):文京シビックホールにて、11月1日に実施予定。日本の古典文学を題材にした邦楽を特集する演奏会。

>> チラシをダウンロード(PDF形式)icon_pdf

『カナガワ リ・古典プロジェクト』チラシ

チラシ(2):リニューアル、リハウス……そして「リ・古典」。古典を時代のフィルターを通して見直してみようという、神奈川県が発信する文化事業。共に制作を担当します。

>> チラシ(オモテ)をダウンロード(PDF形式)icon_pdf

>> チラシ(ウラ)をダウンロード(PDF形式)icon_pdf

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