ラレコ山への道 小野木豊昭 古典空間への誘い

【其の百弐】2020年も「いつも通り」

2020年2月
 2020年が幕開きましたが、浮足立つ世の中に背を向け、伝統文化による地域振興、伝統文化の次世代への継承、そしてそれらが叶う社会の仕組みづくりに、「いつも通り」取り組んで行かねばと思っています。

 一昨年はコラーレで、昨年は砺波の出町子供歌舞伎曳山会館で、かつて浄瑠璃王国の一つと言われた富山に浄瑠璃文化を再生できないものか、そんな試みを会館の皆さまと共に実践しました。どんなに素晴らしい文化でも、地元にいると当たり前のものとして通り過ぎてしまい、その価値には気づきにくいものです。しかし、地域の伝統文化の再認識こそ地元活性化の原動力となる、そんな事例を全国各地で数多く見聞きしてきました。こうした目的を掲げられるのは公共の文化事業ゆえであり、ぜひ継続的に取り組んでいただきたいものです。

 3月7日、富山市のオーバード・ホールにて「弧の会 × 若獅子会」という公演を行います。本格的なオペラが上演できる3面半ステージなど、施設の持つ様々な舞台機構を活かした伝統芸能公演を実施したい、というリクエストを受けてご提案した企画。<弧の会>は2011年3月のコラーレ公演が思い出されますが、一方<若獅子会>は小鼓・大鼓・太鼓・笛他、様々な鳴物を駆使して日本の音楽を彩ってきた邦楽囃子の集団です。共に自らのジャンルを未来につなげたいという熱い目的を持ち、流派を超えて男性だけで結成されたユニットです。それぞれの代表演目は言うまでもなく、平安末期、一連の源平の戦いの中でも、倶利伽羅峠の戦い(砺波山の戦い)で、木曽義仲が平家の大軍を打ち破った「火牛の計」をテーマにオリジナル演目を創作して上演。舞台機構を駆使しつつ両者が火花を散らします。敗れた平家の落武者が五箇山に辿り着き、養蚕から芸能に至る独自の文化を築いたのです。

 そして3月14日には南砺市のじょうはな座で、3年目を迎える「江戸芸能の風景」が上演されます。ユネスコ無形文化遺産にも登録され、城端が誇る曳山祭。その豪華絢爛な曳山を先導する庵屋台で唄われる庵唄のルーツは、端唄をはじめとする江戸の芸能と言われています。特に歌舞伎の代表的な演目『勧進帳』には、五箇山で生産された絹糸を城端で織ったであろう織物が登場します。長唄の若手演奏家の皆さんによる『勧進帳』演奏、“新体操”のごとき晒しの捌きが観処の日本舞踊『越後獅子』、そして江戸端唄の名手・本條秀太郎さんが、江戸端唄の演奏はもちろん、世代性別を超えて唄い継がれることを願って新たに作曲した庵唄が披露されます。

 プロモーター主導による集客=採算を意図した公演も必要ですが、年間プログラムがそればかりになると、残るのは一過性な数値的“結果”だけとなります。「文化の力で地域をより元気にする! 文化は裏切らない! だから必ずやり遂げる!」と言うビジョンを具体的・現実的プランと共に掲げ、こうした地域の宝を活かして、その“成果”に向けて継続的な取り組みに挑むことこそ、2020年を機に公共施設が抱くべき目標なのではないでしょうか。

 2020東京五輪は、社会に否応無く様々な変化をもらたすでしょう。だからこそ、ブレることなく「いつも通り」にこだわり続けるのです。




古典空間
弧の会 × 若獅子会
 日 時:2020年3月7日(土) 開演16:00
 会 場:富山市 オーバード・ホール
>> チラシをダウンロード(PDF形式/1MB)

 
古典空間 江戸芸能の風景「加賀絹あまた取りそろえ」
 日 時:2020年3月14日(土) 開演14:00
 会 場:南砺市 じょうはな座
>> チラシをダウンロード(PDF形式/897KB)
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