ラレコ山への道 小野木豊昭 古典空間への誘い

【其の九拾七】“芸術の出前”アウトリーチ活動

2018年10月
古典空間

伝統芸能の普及・振興にとって、今や公共の文化施設は不可欠の存在となっていることは、この紙面でも度々お伝えしてきました。能・狂言、歌舞伎、文楽、日本舞踊、雅楽、三曲、各種三味線音楽など、担い手がプロフェッショナルである数々の“劇場系”伝統芸能。その磨き上げられた芸を劇場の客席で味わい楽しむ『鑑賞型事業』。そしてこれら各種芸能の演者が直接観方や聴き方などをお伝えするレクチャー&デモンストレーションや、実際に芸能を体験するワークショップなどの『参加型事業』、そして鑑賞型・参加型事業を学校や福祉施設など訪問、いわゆる出前公演にあたる『アウトリーチ事業』と3つに大きく分類されますが、現在自主事業を行う全国各地の公共ホールは、地域の実情やニーズに応じてこのような形で伝統芸能に限らず、様々なジャンルの表現芸術を伝えています。

中でもアウトリーチの意義は大きく、ステージで輝くアーティスト、言い換えれば普段は額縁の中にいる特別な存在のアーティストが日常の生活の場に直接訪れるわけで、素晴らしいパフォーマンスを目の当たりにするだけでなく、人間としての素顔に触れることになります。魅力は倍増し、普段劇場に縁の薄い方、また将来的に観客、聴衆となっていただきたい子どもたちらとの強力な接点づくりになるのです。

私たちも2000年前後より、ホールでの鑑賞型事業と連携させて事前に出演する1 – 3名のごく少数のアーティストと、ホール周辺地域の学校や福祉施設などをまわって“種まき”をしたり、アウトリーチ自体が目的の事業で、地域総ての小中学校をクラス単位で巡回するケースであったり、実に多くの事業に関わってきました。地域や学校毎に“顔”が異なるので、いわゆるパッケージは一切成立しません。その都度様々な情報をリサーチして相応しいプログラムを立案する事は必須事項です。たった1年の学年の違い、人数の多少、活き活きと人々が集う地域への求心力に満ちた祭りの存在の有無など、つまり多種多様、異なる対象毎に丁寧なプログラムづくりが求められるのです。好きになってまた観たいと聴きたいと思ってもらえるか、二度と触れたくないと思わせてしまうことになるのか、特に学校の場合は初めての出会いになるだけに責任は重大です。

アーティストにとってステージで演じる以上に多くのエネルギーを要するのがアウトリーチであり、主催する側も、目的や対象と向き合ったキメの細かいマッチングや、それなりの経済的保障が用意されるべきであると体験的に強調したい思いに溢れます。

10月4日、5日と、黒部市内の4つの小中学校で義太夫節のアウトリーチが実施されます。昨年「文楽公演」が行われた事と、その昔、富山県が「義太夫王国」と言われるほど義太夫を嗜む方が多かった事が実施の背景です。日本を代表する伝統芸能である人形浄瑠璃・文楽や歌舞伎を支える三味線音楽「義太夫節」を黒部の子どもたちに知ってもらう事は、富山県、そして日本という風土へのアイデンティティ醸成と言う意味で、コラーレにとって「規模は小さくても大きな意義を伴う事業」となるのです。




竹本京之助と鶴澤賀寿による義太夫節の学校アウトリーチ

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和太鼓兄弟ユニット「は・や・と」による学校アウトリーチ

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津軽三味線ユニット「あんみ通」による学校アウトリーチ

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日本舞踊家集団「弧の会」による学校アウトリーチ

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