ラレコ山への道 小野木豊昭 古典空間への誘い

【其の四拾弐】三弦の競演

2006年7月

 生まれ育った鎌倉と今住んでいる東京以外に、「ただいま!」と言える土地が二ヶ所あります。沖縄、そして黒部。こんなに何度も足を運んだ土地は他にはありません。訪れる度に、いつも名残惜しさに後ろ髪引かれる思いで帰京の途につくわけです。そんな黒部のコラーレで「沖縄発 三弦三昧」を御覧いただける……こんなに冥利なことはありません。

 沖縄市、那覇市、石垣市、各自治体の公共ホールの皆様と共につくり上げた企画を、地元黒部の文化の発信基地として機能するべくさまざまな実験と実践を重ねてきたコラーレで実施できることに大きな意義を感じるのです。

沖縄発 三弦三昧のステージの様子
 中国の三弦、沖縄の三線(さんしん)、そして津軽三味線。三本弦の同じ構造を持つ楽器を<リレー形式>でご紹介することで、日に日に日本文化の色が薄まりつつある現代社会において、まさに「文化の系譜」と同時に「日本の文化的アイデンティティー」を体感していただけるのです。
太鼓に棹を突き刺し、弦を張ってみたことで誕生したといわれる楽器。三味線、三線、三弦は楽器学上「スパイクリュート属の撥弦楽器」に分類されています。

 現代中国を代表する名手・費堅蓉(フェイ・ジェンロン)の奏でる『中国三弦』。大きさにより大三弦、中三弦、小三弦の三種類がありますが、彼女の演奏するのは津軽三味線と同様の大きさの胴を持つ大三弦。約120cmの長い棹。胴には三線と同じくニシキヘビの皮が張られています。弦はスチール製。バチを用いず、付け爪で演奏します。現在、三弦奏者は中国でも非常に少ないそうです。五本指を駆使したトレモロ奏法で魅せる超絶技巧と高い音楽性は必見です。

 中国の三弦が琉球に伝わり、基本的な構造はそのままに、琉球独自の生活スタイルの中で徐々に形を変えて誕生した『三線』。島唄=民謡や琉球舞踊、エイサー等の伴奏を受け持ち、沖縄の芸能にはなくてはならない楽器です。小ぶりの胴にニシキヘビの皮を張り、全長約80cm。以前は絹糸を用いた弦も現在ではナイロン製が主流です。沖縄の方は“バチ”と言いますが、水牛の角などで作った大きな爪を人差し指にはめて演奏します。新良幸人(あら・ゆきと)は伴奏楽器である三線をソロ楽器としてスポットを当てたアーティスト。彼の唄と三線の音色に心酔して下さい。島太鼓のサンデーと琉球舞踊の星・志田真木(しだ・まき)が花を添えます。

 信長、秀吉の時代に堺の港に伝わったとされる三線が、演奏される条件や地域ごとに太棹・中棹・細棹と様々なカタチに変化しました。明治になり、津軽地方の民謡の伴奏楽器として活躍。後にその前奏部分が独立し、そのテクニックやスピード感から現代人の心を捉えた『津軽三味線』。最も大型の三味線で、ナイロンやテトロン製の弦と犬皮を張った胴を、鼈甲+象牙製のバチで叩くように弾きます。コラーレでもお馴染みのあんみ通が再訪を心待ちにしています。

 “血が濃い”ゆえに擦り合わせの難しい三種類の楽器ですが、ラストシーンに展開する「スーパーセッション」は、敢えて向い合うことで多くの可能性が見えて来た圧巻のステージです。三弦から発するメッセージとエネルギーを、7月8日、是非受けとめてみて下さい!

 

沖縄発 三弦三昧に出演される出演者の皆さん
沖縄発 三弦三昧
2006年7月8日(土) 開演19:00 コラーレ(カーターホール)

出演:費堅蓉(中国三弦)
新良幸人(三線)
あんみ通(津軽三味線)
サンデー(鳴物)
志田真木(琉球舞踊)

(2006年07月 COLARE TIMES 掲載)

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