ラレコ山への道 小野木豊昭 古典空間への誘い

【其の九拾六】シャワーの如く

2018年7月

古典空間
学校では4月に迎えた新年度も落ち着き、数多くの行事が行われる時節。様々なジャンルの舞台芸術による学校公演が盛んに行われています。私たちも、十数年間お付き合いを重ねている新潟県十日町市の中学校を皮切りに、文化庁主催「文化芸術による子供の育成事業 巡回公演事業」での関東・東北各県の小・中学校における公演他、幼稚園・保育園、高等学校、専門学校、大学と、さまざまな教育機関へ、今年度は少なくとも30数校には伺うことになっています。

一口に学校公演と言っても、公演会場の「環境づくり」と、公演の内容・構成つまり「プログラムづくり」には実に多くの時間とエネルギーを必要とします。会場は体育館、音楽室? 音響・照明装置などは機能しているか? 公演時間は何分位? 対象は全校生徒、学年毎、クラス単位? 鑑賞のみか体験コーナーを入れるか? など基本的な枠組みは言うまでもなく、学校周辺に地域の子供たちが挙って参加するようなお祭や郷土芸能があるかどうか? 音楽の授業で和楽器は実際に扱われているか? 音楽の教科書はどの出版社か? など、事前に担当の先生との丁寧な情報交換が欠かせません。

そして、得た諸情報をもとに、アーティストとは、「この学校」の子供たちに相応しい演目選択と伝えたい言葉の一言一句に至るまで精査しリハーサルを繰り返します。舞台、音響、照明のスタッフとは、演奏している奏者の手元が見えるか? 会場後方の子供たちまで音や声が届いているか? など、可能な限り自分が一番後ろに座っている子供の目線になって検討を重ねます。

小学生時代、体育館で“子供にとっての”長時間、冷たく堅い床に体育座りを強要され、お尻が痛い事だけが印象に残るような鑑賞教室が毎年巡ってきた苦い思い出があります。これだけは避けてあげたい……せっかくの出逢いの機会を最良の思い出としてもらい、思い出だけに終わることなく、この出逢いが三味線や民謡や踊りを地域の先生に習いに行くキッカケになったら、などと想像しながら準備に取り組む日々です。子供でなくなってしまった私たちができることは、初めて接する子供の視線・心情になろうとする努力なのではないかと思います。「ワカル、理解スル」という切り口、つまり勉強につながるイメージを極力除き、楽しい、面白い、カッコイイと素直に「感ジル」演出に徹することがどれだけ大切かを、学校に伺い子供たちの反応に接する毎に痛感します。

日常生活から日々遠くなりつつあるジャンルゆえ、また日本には出逢ってもらいたい素晴らしい芸能が実に数多く存在するゆえ、若い世代との「接点」を積極的かつ継続的に“シャワーの如く”つくり出してゆく必要があるのです。




小学校における義太夫節アウトリーチ公演

古典空間

女義太夫の衣裳である「肩衣(かたぎぬ)」について説明



古典空間

体育館での学校公演、スクリーンに舞台での解説を投影


邦楽囃子・若獅子会による小学校でのワークショップ

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