ラレコ山への道 小野木豊昭 古典空間への誘い

【其の八拾八】 伝統文化と公共ホールの未来(その2)

2016年4月
古典空間

昨年10月18日にコラーレで行われた「とやまのたから2015 黒部×砺波」に引き続き、第2弾として「とやまのたから2016 砺波×南砺」が、5月3日(火祝)、砺波市出町子供歌舞伎曳山会館で催されます。

砺波の出町は、“浄瑠璃文化”の根付いている希有な地域です。子供たちが奏でる太棹三味線が堂々と鳴り響いたコラーレの舞台が、昨日の事のように思い出されます。今回は『恋女房染分手綱~重の井子別れの段』に初めて挑むそうです。4月27日を皮切りに29日、神明宮の祭礼における奉納から市内各所での上演に引き続き、5月3日、曳山会館前に曳山と特設ステージが併せて据えられての上演になります。2月半ばに稽古場を訪れた時、地域総出で子供たちを役者に、そして「神様の使い」に仕立ててゆく光景を垣間見て感動を覚えました。

南砺市からは、五箇山民謡清流会(平高校郷土芸能部OB会)の皆さんをお招きして、五箇山民謡が披露されます。「こきりこ節」や「麦屋節」をはじめとして芸能の宝庫とも言える五箇山。「“まち”の誕生から今に至るまでの物語」を体現する芸能が、地域の求心力として生きている姿を対比しつつ、そのすばらしい伝統文化を生み育んできた「まち」をご紹介するための物産紹介・販売など、「とやまのたから」ならではの企画で盛り上がることでしょう。

インターネットの日常化に象徴される「IT文化」という価値観が、多くの場面、局面で物事の判断基準となりつつあります。同時に、伝統文化の普及・振興が叫ばれつつも、現実的にどうしらたよいか、その方法論が見出せないでいるのが全国的現状です。

そのような中で「過去に生まれた優れた作品や表現で、時代を経ても、地域や言語が異なっても、受けとめた人の胸に響き、明日を生きる糧として昇華するもの」という解釈を、「伝統」という言葉の意味として再確認・共有することによって、「全国的現状」の突破口にしたいと常々考えています。

ところで「伝統芸能」と言っても、地域への求心力として機能する「祭」や「祭に伴う諸芸能」と、能・狂言、歌舞伎、文楽などいわゆる日本を代表する伝統芸能とに分けられます。しかし結果的に両者は一線上にあるのです。地域の芸能と向き合う日常が“当たり前”であることが、日本の伝統文化の理解と日常化につながるのです。

オリンピック、インバウンドなどの言葉に踊らされて実施される最近流行りの伝統芸能フェスティバルなどは、国内外の人々にとって伝統文化との出会いのキッカケにはなるかも知れませんが、一過性の“打ち上げ花火”に思えてなりません。外国の方々には、本来ならば日本の「いつも通り!」を見て触れていただくべきです。「日本の、また各地域の伝統文化を“当たり前”に生活の一部とし、またある時は刺激として未来への活力とする……そんな価値観を持つ人々が暮らす日常が継続的に在る社会」こそ「いつも通り!」であって欲しいのです。「いつも通り!」の実現こそ2020年の“レガシー(遺産)”としたいものです。

そんな着地点に継続的に向かう「仕組み」づくりが急がれます。確かに地域によっては、民間組織や個人レベルですばらしい積み上げを実践されている方々もいます。しかし、「伝統」という言葉の再認識と共有から始めて、さらなる「全国的現状」の打開には、地域の実情、法律や制度、教育問題などと向き合う膨大なエネルギーが必要です。それゆえやはり、行政の文化事業こそ「伝統文化の普及・振興」にとって、最大のパートナーであるという考えに変わりはないのです。砺波市の公共ホールである砺波市出町子供歌舞伎曳山会館主催「とやまのたから2016」は、地域の伝統芸能による「求心力再構築プロジェクト」の立ち上げにとって、大きなヒントになるのかも知れません。

古典空間

「とやまのたから 2016」に向けて稽古中の「出町子供歌舞伎曳山」


古典空間

「とやまのたから 2016」に向けて稽古中の「出町子供歌舞伎曳山」


古典空間

 
とやまのたから 2016 砺波×南砺
日 時:5月3日(祝火) 開演15:00
会 場:砺波市出町子供歌舞伎曳山会館
入場料:全席自由500円

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