ラレコ山への道:国際交流員「目からウロコ」

#24 「家庭の様々な形へ」非伝統的家族の増加

2021年6月

 アメリカでは1910年代から、5月の第2日曜日に「母の日」、そして6月の第3日曜日に「父の日」が祝われています。それよりも何百年も前から両親に感謝を表す日を祝ってきた文化がありますが、最初の現代的な「母の日」は1907年に祝われたと言えるかもしれません。“あなたのために、他の誰よりも頑張ってくれる母親”に敬意を表すべきだと思ったアメリカ人のアナ・ジャービスの努力のおかげで、母の日は1914年からアメリカ全国的な記念日になっています。それに次ぎ、1913年から非公式的に祝われていた父の日は、ようやく1972年に記念日となりました。

 私たちを育ててくれた両親に敬意を払うことは、世界中のすべての文化で大事にされていることでしょう。そして「母の日」「父の日」、この定められた日に両親に感謝を表します。しかしこの100年で、家族の形は本当に全く変わっていないのでしょうか。

 架空の家族を想像してください。「頭に浮かんできたのは結婚した父親と母親、そして可愛い子ども……」と回答する人は、少なくないと思います。実は、ぱっと想像すると、私もそうイメージします。しかし、こういう理想的に思われている家族は、現実に合っていないかもしれません。

 アメリカだけではなく、世界中に非伝統的家族(non-traditional family)の家庭が増えています。2015年現在アメリカでは、初婚の男女の夫婦の家庭に住んでいる18歳未満児童の割合は半分以下(46%)であり、減り続けています。欧州連合では、さらに驚く事態が起こっています。2018年に欧州連合の出産率は、42%が婚外出産ということです!

 ……と言っても、これは社会の未来に対して「不吉の兆」だというわけではありません。「婚外出産」という言葉は、英語でも日本語でも少しマイナスな含みを持たせているかもしれませんが、現代では婚外出産は普通になっています。例えば、欧州連合最高出産率のフランスは、婚外出産率が6割です。つまり、婚内の子どもより、婚外の子どもの方が多いのです。

 また、「婚外出産」や「未婚母親・父親(=シングルマザー・シングルファーザー)」だというわけでもありません。逆に、未婚同棲カップルの人数が増加しています。2018年の調査により、スウェーデンの家庭は13%「同棲カップル」になっているとわかっています。その上、同性婚が法律的に認められていない国では、同性カップルに子どもが生まれた時にも「婚外出産」として認識されてしまいます。

 婚外の子どもを持つ家庭だけではなく、他に様々な非伝統的家族もいます。例えばアメリカでは、子ども50人にひとりは養子になっています。そしてアメリカの世帯の中では、100万世帯は同棲カップルの家庭であり、そのうち16%は子どもを育てています。アメリカだけではなく、世界中に孫を育てている祖父祖母、自分の意志でひとり親になった人、同性カップル、継子を持っている家庭などの多彩な家族もいます。

 現代の「母の日」と「父の日」には、母親二人にプレゼントをあげる人、祖父に敬意を表す人、実母だけではなく継母にも感謝を伝える人もいます。最近、結婚したパパ・ママと子ども家族のみならず、あらゆる家族の形を認められている「混合家族(blended family)」などの言葉の利用が普及しつつあります。こういう多様な家庭の支援できるように、まずはそれらの存在を社会的に認識しないとはいけないでしょう。


富山県南砺市の城端織
[最近、目からウロコが落ちたこと……]
 この間、国際交流員の研修のために富山県南砺市を訪問する機会がありました。黒部市と同じ富山県ですが、かなり違う雰囲気を持つ街の魅力を味わうことができて、とても楽しかったです。私にとって特に興味深かったのは、城端織です!
どんなに長く日本にいても、日本の文化を全部知ることはやはり無理ですね。しかし、私は日本にいるうちに、できるだけ日本の様々なことをわかるようになりたいです。

(2021年06月 COLARE TIMES 掲載)

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