ラレコ山への道:国際交流員「目からウロコ」
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COLARE TIMES
#22 世界のクリスマス習慣
2020年12月
クリスマスツリーを飾ったり、クッキーを焼いたり、長靴下を暖炉の上に吊るしたり、皆さんご存知のクリスマスの習慣は、実は世界共通の祝い方というわけではありません。各文化にはそれぞれの伝統があるので、今回、あまり知られていない楽しい習慣を3つ紹介します。
■ メキシコ「Las Posadas(ラス・ポサダス)」宿屋に断られる習慣
メキシコでは、「ラス・ポサダス」というお祝いがあります。ラス・ポサダスは「宿屋」という意味で、イエスを身ごもっていたマリアとヨセフのベツレヘムへの旅を表現していて、12月16日からラ・ノチェブエナ(La Nochebuena/12月24日クリスマスイブのこと)まで、9日間続きます。
この9日の間は毎夜、聖母マリア、聖ヨセフや天使などの仮装をした子どもたちや大人、音楽隊が集まり、行列になって各家を回ります。しかし聖母の物語のように、出産間際のマリアとヨセフは宿屋の主人に次々に断られてしまいます。つまはじきにされた一行はようやく最後の家に受け入れてもらい、おいしい食べ物を楽しみながらお祝いをします。
子どもたちは毎夜、紙で作ったお菓子やおもちゃが入っている星形の「ピニャータ」を棒で打ち割ります。パーティーが終わってからは、みんなでミサに参加します。この9日間の夜は、それぞれ違う価値を表します。謙虚、忍耐力、無執着、慈善、信用、正義、純粋、幸せ、そして寛大です。
ラス・ポサダスの習慣は、メキシコの植民地時代(1521-1821)に起源を発しています。元々アステカ文明の一部であったメキシコは、冬の時期、土着の太陽神であるウィツィロポチトリの降誕を祝う行事がありました。しかしスペインの植民地時代、スペインから来たカトリック司祭がキリスト教を紹介するきっかけとして、ヨーロッパのクリスマスとこの既存のお祝いを融合させました。ラス・ポサダスはメキシコに限らず、グアテマラ、キューバやフィリピンなどの国でも祝われています。
■ フィンランド「Joulusauna(ヨウルサウナ)」クリスマスのサウナ
550万人の人口に対してサウナが300万あるフィンランドでは、クリスマスイブにサウナに入ることは不可欠な習慣です。
クリスマスイブの早朝から、サウナを丁寧に洗ったり、特別なサウナ用の精油を置いたり、ランタンやろうそくで飾ったりしてサウナのお部屋を用意します。午後から家庭のみんなでサウナに入り、体を洗って浄化し、心を落ち着かせます。サウナの長い歴史があるフィンランドでは、サウナは昔から家庭で一体感や密接な関係を育む場所として思われているので、クリスマスにはなおさら大事にされています。
日が暮れてからは祖先の御霊や妖精はサウナを使うので、日没後にサウナの利用は禁じられています! そして全サウナには、サウナを保護する妖精の「saunatonttu(サウナトンットゥ)」もいますので、感謝の気持ちを込めてクリスマスの特別な食べ物をサウナトンットゥにお供えしなければなりません!
■ アイスランド「Jolasveinar(ヨウラスヴェイナル)」13人の妖精が家に侵入!?
クリスマスの13日前(12月12日)から、アイスランドの子どもはみんな毎晩、窓台に靴を置いておきます。なぜかというと、13人のヨウラスヴェイナルという妖精が侵入し、プレゼントを配るからです!
この妖精たちは毎晩ひとりずつ街に降りてきて、子どもたちが寝ている間にこっそりと家に入り、いたずらをします。どんないたずらをするのかは、妖精の名前に表れています。例えば、戸をピシャンと閉める君、スプーンをぺろぺろする君、ソーセージ泥棒君、ロウソクこそ泥君など、様々な性格のお茶目な妖精がいます。13日間毎朝、素直な子どもたちの靴には小さなプレゼントやお菓子が見つかります。ところが、わんぱくな子どもには腐ったジャガイモが見つかります。
そして、妖精に影響を受けない大人には、「Jolabokafloo(ヨウラボカフロッデ)」という伝統もあります。ヨウラボカフロッデは「クリスマス本の洪水」という直訳で、クリスマスイブにお互いに本を贈る習慣です。
12月中旬には日照時間が4時間しかないアイスランドでは、外での活動が少なくなります。そして中世紀から続いている文学の歴史が長いアイスランドは、ひとり当たりの出版する本の数量が世界一で、現代で「本の虫の国」として知られています。ヨウラボカフロッデは、物資の制限が多かった第2次世界大戦から続いていて、その時代は無制限に使える紙を使った本がよくプレセントとされました。現代にも続いているヨウラボカフロッデでは、クリスマスイブに本を贈り合い、みんな夜更かして本を読みます。
[最近、目からウロコが落ちたこと……]
最近、着物着付けのレッスンを受けている友だちに、練習として着物や袴を着させてもらっています! 着物を着ると、日本の特殊な魅力を感じます。私も今から、日本にしかない芸術を勉強したいと思っています。
(2020年12月 COLARE TIMES 掲載)