ラレコ山への道:国際交流員「目からウロコ」

#19 メイクの力(2)

2020年8月

 皆さんと一緒に少しゲームをやってみたいと思います。座ったままで遊んでもいいゲームです。心の準備はできましたか? では、始めましょう。

 まずは、「世界一の美しい人」を想像してください。心の中で、その姿を詳細に思い描いてください。はっきり見えますか? 髪の毛は? 肌は? 体型は? 性別は? そのイメージを覚えておいてください。

 

目からウロコ
■ ファンデーションを普通に買えますか?
 現代ではドラッグストアでも、ファンデーションの商品コーナーには、圧倒されるほどの種類やブランドが数多くありますね。パウダー、リキッド、ルース、クリーム、クッション、ミネラル。「もちもち」「ツヤ肌」「マット」と、目を奪おうとするラベルが数え切れないほどあります。

 自分向けのファンデを選ぶ時、いろいろ考えなければなりませんが、最も基本的なことは自分の肌色に合うことと言えるでしょう。皆さん、肌に合うファンデを見当たらなかったことはありますか? 売り切れていたのですか? または一切なかったのですか? それは1回だけ? 何回も? そして、どんなにがんばっても見つけられない場合は?

 アメリカで特に論議の的になっているのは「ファンデの色合が欠如している」ということです。なぜならアメリカの化粧品は、起源から現代まで、白人を念頭に作られているからです。

 毎日化粧品を塗るのが普及してきたのは、1930 – 1940年代頃。その頃から、肌の黒い人にとって、自分の肌に合うファンデやアイシャドウ、口紅などがなかなか見つかりにくい状態が続いています。というのも、ある人の肌色を引き立たせる色は、別の人の肌色も引き立たせるというわけではないからです。例えば、白人に似合う浅いピンクのアイシャドウは、肌の黒い人に真っ白に見える時があります。

 1930 – 50年代に黒人が製造した商品はありましたが、広く出回りませんでした。何より、その製造者が商品を流通するルートが限られていたからです。

 この問題は現代にも続いています。数年前まで、色黒い肌の人は普通のドラッグストアに行っても、肌に合うファンデやコンシーラーを見つけられませんでした。「The Darkest Shade(最も暗い色合)」というシリーズを通じ、コスメユーチューバーのNyma Tang(ニーマ・タン)さんは化粧品業界の偏見を暴いています。肌がとても黒いタンさんは動画で、ブランドの最も暗い色合のファンデを試して、どこまで自分に合うか実験していて、その視聴回数は1100万回を超えました。タンさんと他の有色人種の女性が始めた運動や声のおかげで、化粧品ブランドはファンデやコンシーラーの色を増やしています。

 しかし、日本ではまだまだ困難です。日本に住んでいる肌がかなり黒い人は、外国人でも日本人でも、自分の肌に合うファンデを探すのは至難の業になります。

 例えば、日本で発売している海外のコスメブランドは、全商品を日本で売っているわけではありません。Maybelline(メイベリン)の「フィットミー」ファンデは、アメリカで40色販売していますが、日本で15色しか扱っていません。M・A・C(マック)の「スタジオフィックス」ファンデは、アメリカは63色ありますが、日本は24色だけです。

 そうなると、肌が黒い外国人や日本人は自分の肌色に合うファンデが欲しかったら、海外から輸入するか、出身国から持って来日するという方法しかありません。もしその運んできた化粧品がなくなったら? 手に入れるのが難しいので、しょうがなく舞台用化粧品をファンデとして利用する人がいます。また、ファンデを何本も買い、使えそうな色ができるまで混ぜ合わせ、科学の実験のように自分用を作る人もいます。私のような肌が白い人でも、日本でファンデを見つからない場合があります。ファンデが十分に明るくても、色合(つまり、赤みや黄色味)が合わない場合がよくあります。そして、肌に合うファンデを日本で見つけても、手に入れるのがまだ難しいかもしれません。普通のドラッグトアで売っていないし、値段は2 – 3倍高いときもあります。逆に、より簡単に手に入るのは肌を白くする美白の化粧品です。

 YouTubeで、肌黒い人向けの動画を検索すると、出てくるほとんどは、肌に合うメイクの仕方ではなく、「地黒から白肌にする方法」と「地黒さん必見! 絶対可愛くなるメイク」をタイトルにしている動画です。この動画によると、まず白いベースを顔全体にたっぷり塗り、顔がより白くなってからファンデを使います。顔だけが白くなったことを避けるために、首、手まで塗る人もいます。このような動画の視聴回数は、20万回を超えています。

 さて、冒頭で思い描いてもらった、「世界一の美しい人」を思い出してください。その人の肌は何色ですか? 肌が黒い? 白い? もしあなたが日本人であれば、思い描いたその人の肌が色白である可能性はかなり高いでしょう。10 – 20代男女を対象にした TesTee Lab.(テスティーラボ)の今年の調査によると、「美白したい/色白になりたい」かどうか聞いたところ、「とても思う」「やや思う」と回答した女性は86.3%になりました。男性でも61.4%います。理由には、「おしゃれになりたいから」や「清潔感のある方がいいイメージを持たれやすい」などがありました。

 先月の COLARE TIMES で、「beauty standards(美の基準)」という言葉について少し話しました。理想的な美しい人を想像した時に、どのような人でしたか? 肌が白い人ですか? 髪の毛は真っすぐですか? 鼻の高い人ですか? 小顔ですか? 二重瞼ですか? 女性? 男性? どちらでもない? 私たち一人ひとりは、「なぜこれが綺麗だと思うのか?」「なぜそれが醜いと思うのか?」「どうして他人にそんな風に見られたいのか?」などを考えていけば、私たちが持っている偏見をよりはっきり認識するようになるでしょう。そして、その偏見を壊し、もっとカラフルな世界を築けるようになると思います。

@colourpopcosmetics

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@nymatang

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[最近、目からウロコが落ちたこと……]
 日本に来てから、よく目に留まるのは「裁縫の人気」です。私の親の世代の方々は、裁縫の能力が高いですが、アメリカ人の若者の中には、どんなに必要だったとしてもボタンを縫い付けられる人は少ないです。とても残念だと思っている私も、実は基本的な補修しかできません。
 しかし日本の女性は年代に限らず、一般的に初級から上級までいろいろな裁縫ができていると気づきました。最近アメリカでも、knitting(編み)やcrocheting(クローシェ編み)は趣味として再発見されています。YouTubeのおかげで、初心者向けのわかりやすい簡単な動画も観られるので、今の「stay home」時期に、私も裁縫を新しい趣味として始めてみたいと思います!

(2020年08月 COLARE TIMES 掲載)

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