ラレコ山への道:国際交流員「目からウロコ」

#18 メイクの力(1)

2020年7月

 この数年間、「beauty standards」(美の基準)が話題になっています。美の基準とは、ある社会、ある文化が大事にしている容姿のことです。つまり、それぞれの地域や社会で、「これが綺麗だ」と多くの人が認めている基準です。

 化粧品は、私たちが持っている美の基準を反映する鏡になると言えるでしょうが、それより深い意味を持っているのではないでしょうか。今月と来月のコラムで、メイクと美しさの関係について話しながら、化粧品に対するアメリカと日本の考え方の違いを探ってみたいと思います。

 

目からウロコ
■ アメリカと日本の色合の違い
 アメリカと日本のドラッグストアで化粧品が並んでいる棚をざっと眺めると、すぐ目に飛び込んでくる違いのひとつが、色合いが違うところです。日本の化粧品はピンク、赤、茶色が占めていますが、アメリカでは特にこの10年間、コスメの色が虹のように幅広くなってきました。青い口紅、銀色のアイライナー、山吹色のアイシャドウは、化粧品専門店ではないドラッグストアでもかなり簡単に見つけられます。

 例えばアメリカには、何千万回も再生される Safiya Nygaard (サフィーア・ナイガード)という人気ユーチューバーがいます。彼女は店で売っている同種の化粧品(口紅やアイシャドウなど)を全色買い、溶かして混ぜ合わせ、何色になるかを楽しく実験します。この実験結果により、どの色は人気があるのか、どの色合が多いのかなどがわかります。その上、溶かす前に紫色やオレンジ色などのリップが全部同じ鍋に入っている画像を見ると、実に多彩な色の化粧品があることがわかるでしょう。

 なぜ日本では色が限られているのかと尋ねると、「日本人はナチュラルなメイクが気に入っているから」とよく答えられます。そして、「ナチュラルメイクがその人を一番美しくする」と当たり前のように言います。それが日本の「美の基準」なのかもしれませんね。

 
目からウロコ
■ ユーチューブの影響
 実家に帰っている間、家族と出かける時にはいつも、母は私にメイクをしてほしいと頼みます。「どうしてそんなに化粧が上手なの?」と言われますが、メイクの能力が平凡な私にとってはビックリする言葉です。誰でもユーチューブの動画を見てメイクをスキルアップできる現代では、私が持っている技術はごく普通です。

 ユーチューブのおかげで、世界中のあらゆる人々がメイクの動画を配信しており、そこから、メイクの多彩性、人々の多様性、人間の創造力を観ることができます。例えば、K-Popが好きな人は韓国人からのチュートリアル動画が観られ、住んでいるところに関わらずK-Popらしいメイクができるようになれます。それにネットでは、メイクは性別も関係ありません。女性だけではなく、男性のコスメユーチューバーもとても注目を浴びています。その上、男性向けのメイクなどの化粧品の世界全体の売上げは、2019年に1221億円と見積もられ、2024年までに約5400億円に達すると予想されています。若い世代には、メイクはどんな性別にも普及しているそうです。

 しかし、コスメのユーチューバーを観て気づくのは、その動画の「美しさ」についてだけではありません。以前に比べ現代では、化粧はだれでもできる美術になっています。自分の顔をキャンバスにする……化粧ブラシは絵筆、口紅は絵の具、そして自分が作った美術作品をユーチューブなどのSNSに展示できます。そういう理由から、一般人でもこのようなメイクをすることにハマってきていると思います。レントゲン写真に見えるメイクから、まるで仮面を持っているようなメイクまで、可能性は無限大です。

 当然、毎日このようなメイクをする人は少ないと思いますが、この華やかなメイクからインスピレーションをう受けて日常のメイクを思いつく人が多くいるでしょう。

 化粧品は、「自分の美しさを明らかにする」ことはもちろんですが、それより「自分の個性を生かしてくれる」ものになると思います。顔の特徴だけではなく、性格の特徴までも。つまり、メイクは「自己表現」の道具として扱われているのでしょう。だんだん普及してきているコスプレとして楽しくメイクをする人から、はかない(美術)作品を作ろうと思って顔を塗る人まで、化粧はあらゆる使い方があります。東京の原宿などへ行ったら、日本でもこのような考えが見えると思います。

 しかし、日本では週末でも、好きなメイクができるわけではありません。濃いとか色鮮やかなメイクとか、またはメイクをしている男性なら……じっと見られ、「あの人が変わっているよね」「濃いメイクだね!」「派手な人だなー」と思われてしまう恐れがあると思います。もう外国人として目立っている私は今より目立ちたくないので、本当にやってみたいメイクは日本で全然しません。私はやるのが楽しそうなメイクを見たら、家で塗ってすぐ落とします。

 メイクで色々なことが伝えられると思います。「スッピンのままでの私が好き!」とか「ドラマチックなスタイルにはまっています!」など。しかも、メイクをする時、必ずしも誰もが「このメイクでもっと可愛くなりたい!」という意味があるわけではありません。目標は「美」だけとは限らないのです。「目立つ」ためだけでもありません。どちらからと言うと、「自分が気に入ってる私を見せたい」という意味です。

@jamescharles

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@lithunium.snow

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@promisetamang

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@nikkietutorials

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[最近、目からウロコが落ちたこと……]
 最近聞いた話では、日本人の女性は20 – 30代で全身脱毛をする人が多いそうです。そして、2年間にわたって30 – 50万円ぐらいかかるということです。
 私にとって大ショックでした。
 もちろん東京で電車に乗る時、脱毛の広告はよく目に入っていますが、今までは気にしていませんでした。「不思議だなー」と思いながらそれより深く考えたことはなかったです。アメリカでは脱毛をする人はいますが、水泳選手以外は、全身までする人がかなり珍しいと思います。
 その話を聞いた時、「体毛があってもいいんじゃない?」「50万円も使うの?」などの考えが浮かんできました。

 

(2020年07月 COLARE TIMES 掲載)

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