ラレコ山への道:国際交流員「目からウロコ」

#02 アメリカの感謝祭

2018年11月

 11月なので、今回は「アメリカの感謝祭」について紹介したいと思います。

 感謝祭というのはアメリカの行事です。毎年11月の第4木曜日で、アメリカの企業は一般的にその週の水曜日から金曜日までお休みになります。感謝祭は、名前からわかるように日頃の感謝を家族と共有する祝日で、アメリカ人は、ターキー、マッシュポテト、パンプキンパイなどを食べ、家族と一緒に時間を過ごします。お腹いっぱい、笑顔でのんびりするこの行事のイメージは、アメリカで人気があります。

 感謝祭の由来についてはいろいろありますが、一般的に言われているのはイギリスからきたピルグリムという入植者の最初の収穫を記念する行事だということです。入植者が到着した1620年の冬は大変厳しく、収穫が少なく、亡くなる人が多い年でした。翌年、その辺りに居住していたネイティブアメリカンのワンパノアグ族が新大陸にある作物の栽培の知識と方法を指導しました。その年の収穫が多くなったので、ピルグリムはワンパノアグ族を招待し、感謝してご馳走したとされ、これが最初の感謝祭になったと言われています。

 私が小学生の時、アメリカの歴史の授業で習ったのは、この話ととても似ているものです。教科書に最初の感謝祭を描写している子ども向けの絵があり、ピルグリムとネイティブアメリカンみんながニコニコしている絵でした。「一緒に発展しよう! 長年の友情を育みましょう!」ということが感じられるものです。アメリカ人とネイティブアメリカンの関係が何百年にもわたって、このまま続いてきたと思っている人が少なくないかもしれません。

 そのピルグリムの子孫の手で、「涙の道」などの強制移動や様々な虐殺で、ネイティブアメリカンは何百万人も殺されました。アメリカ人にとって、感謝祭は自分の国にも感謝する日になりますが、ネイティブアメリカンにとっては辛い思い出を持つ日にもなります。アメリカ合衆国の国籍があるのに、アメリカ政府に十分に対応されていないことがいまだに多くあります。

 高校生の時、ネイティブアメリカンと会う機会がありました。その後、ネイティブアメリカンの作品を読み、話をちゃんと聞く中で、私の世界が広がっていきました。私の目から鱗が落ちた瞬間ともいえるでしょう。


 (ネイティブアメリカンとして)我々は祝日を自分たちの記念日にする。しかし、元の意味、元の文脈をはぎ取るというわけではない。だから残っているのはとても悲しい記念日である。我々の終わりであり始まり、我々の文化の死を記念する日である。生き残りについての記念日だとも言えるかもしれない。我々の強さが証拠である。
シャーマン・アレクシー(ネイティブアメリカンの作家)


 1990年、ブッシュ大統領のおかげで毎年11月は全国のネイティブアメリカンの遺産を祝う月になりましたが、一般のアメリカ人はそういうことを知りません。我々が祖先の罪を責められるべきだとは思いませんが、その罪の影響を認めるべきだと信じています。感謝祭はまだ感謝を表現する祝日になるかもしれませんが、ネイティブアメリカンの「奪われた声」を覚えるのも重要だと思います。もし自分の国の罪を忘れようとしたら、歴史は繰り返されることになります。


 これは歴史の問題である。犠牲者を消してしまったら、罪もなくなる。そしてその時、歴史から我々は消えてしまった。
ウィノナ・ラデゥーク(ネイティブアメリカン権利の運動者)


[最近、目からウロコが落ちたこと……]
 日本のハロウィンです! 2008年、最初日本へ来た時、ハロウィンについて知っている人はまだ少なかったですが、最近は本当に人気のある日になってきましたね。アメリカのハロウィンと違うところは、日本ではパーティーが多いところです。日本で楽しいハロウィンが体験できて本当に良かったです。

写真:10月20日 コラーレの国際交流イベント「ハロウィンパーティー」

(2018年11月 COLARE TIMES 掲載)

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