ラレコ山への道:国際交流員「目からウロコ」

メキシコ湾原油流出

2010年7月

 4月20日にアメリカのルイジアナ州の海岸から80km離れているメキシコ湾で、操業していた石油掘削施設「Deepwater Horizon」が爆発して、折れた掘削パイプから大量の原油がメキシコ湾に流出した事故が起こりました。爆発の事故で11人の作業員が行方不明になり、17人が負傷しました。流出量は現在の推定では、1日5,600キロリットルから9,500キロリットルです。爆発した施設を管理した石油会社BPは流出を止める作戦をいくつも実施してみましたが、すべての計画が失敗し、原油はまだ流出しています。

 メキシコ湾の自然環境にかなり大きな影響がありそうです。4月末ぐらいには流出面積はすでに1万平方kmを超え、6月には流出した原油がルイジアナ州の沿岸まで広がり、約201kmの沿岸に原油が目撃されています。メキシコ湾岸には絶滅の危機にある鳥や魚の種類がいくつもあり、沿岸につながっている湿地帯にも被害が出る危険があります。6月15日までに、流出区域に死んだ動物が1,152匹目撃されました。その中には、鳥が770羽、海がめが341匹、そしてイルカが41匹いました。原油が海流に乗って、大西洋まで行く恐れもあります。そうなったら、アメリカの東海岸にも影響が出てくる可能性があります。

 シーフードで有名なルイジアナ州の大事な水産業にも被害があります。6月2日よりメキシコ湾の229,270平方kmの区域が原油に汚染された漁獲禁止エリアになりました。カキや海老がよく獲れる場所もほとんど汚染されて、ルイジアナ州に非常事態宣言が出されました。隣のアラバマ州とミシシッピ州にも影響があり、メキシコ湾岸の水産業に約25億ドルの損害が出るという推定もあります。水産業だけではなく、観光にも強い影響が出ています。原油が沿岸まで迫ったため、浜や海を楽しめないと思った観光客がホテルの予約をどんどんキャンセルしてしまいました。アメリカの有名な観光地のひとつフロリダ州にも損害が出ています。原油がまだフロリダ州まで届いていないのに、流出の恐れで観光客が急に減ってしまいました。きれいな砂浜を自慢するフロリダ州にとって、最悪の事態になりました。

 アメリカの政府は今、正式に流出事故の原因を調べています。掘削施設を管理したBPが主な責任者になりましたが、ただの事故ではなく、BPが避けられた事故だったかどうかも調べています。最近、BPが経費の節約のために、大事な安全チェックや壊れた部品の修理をちゃんとしなかったという証拠が出てきました。爆発で亡くなった作業員の父によって、事故の8週間前からBPがいつも受けていた安全性の問題に対する提言を拒否するようになりました。

 オバマ大統領はこの事故を振り返って海で行う原油掘削を考え直すべきだと言いました。私もそう思います。流出に影響された場所がなるべく早く元に戻るように祈っています。


目からウロコ

 これは5月24日に宇宙から撮られた写真です。流出は毎日続いているので、今、原油がもっと広がっています。BPは流出を完全に止める作業をしていますが、作業は8月まで続くそうです。流出がこのままの量で続いたら、今回の事故は史上最大の流出事故になります。

(2010年07月 COLARE TIMES 掲載)

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