ラレコ山への道 蝉丸 徒然日記

Vol.21 北米ツアー 2002秋

2003年5月

2~3年に1度の割合で北米10数都市を回る山海塾公演ツアーをおこなっています。今までは北米ツアーというと乗り打ち(劇場に乗り込んであわただしく準備をして公演を打ち、去って行く事)の連続というイメージでしたが、今回はテロの影響もあってか、2ヶ月で5カ所10回公演と極端に少ないのです。モスクワの劇場のようなことが起こるとアメリカの人たちは敏感に反応しますから。仕事用のカレンダーは半分以上白紙です。仕事が無くても人件費や宿泊費はかかります。助成金も出ているのですがこれで利益を出すのは無理だな~。8月の合宿のさなかに苦労して船荷を出しています。今更取りやめるわけにも行きません。などと思っていたら出発一週間前になっても労働ビザが発給されないという事態が起きました。2ヶ月前から申請しています。テロリストの調査のためにビザ発給が大幅に減っているそうです。もしビザが間に合わなかったら、とりあえず渡航し、空港の入国管理局で観光ビザをもらって入国するという事になります。担当官に対する印象が悪かったり、入国後公演しているのが見つかると即国外退去処分になります。どうせ往復のエアーチケットは買ってしまっているし……、などと20年前のようなことを考えていると、アメリカ領事館で1人頭2万円支払うと優先的に審査してもらえるという情報が入りました。「1人2万円で2ヶ月の労働ビザなら高くない」とやくざな気分でGOサインです。実際海外を旅しながら次の国のビザを手に入れるためにかなりの費用を使います。結果、9月30日、出発の2日前にビザを手に入れました。同じ時期に北米ツアーを予定していた他のグループはビザが間に合わず、全ツアーをキャンセルしました。

10月2日、最初の公演地ペンシルバニア州ピッツバーグに来ました。今回はすべての公演が「ひびき」です。舞台装置が少ない作品なので20フィートコンテナで荷出ししたのですが、アメリカ国内は40フィートを越えるトレーラーで運搬します。ピッツバーグの Benedum Center は何度も公演している劇場なのでスムーズに仕込みが行えました。アメリカは劇場スタッフが強力なユニオンを構成していて、そこといかにうまくやっていくかが勝負です。この悪名高きユニオンを説明するのはちょっと難しいのですが、地回り(テキ屋の親分)がいるような感じです。10月5日公演し、翌日帰国しました。今回は仕事がない日が多いので帰国する人と留まる人に分かれます。帰国するといつまでも時差に悩まされることになるのですが、私は二人目の子供が出来ることになったので2ヶ月で4往復する事にしました。

10月17日、アリゾナ州ツーソンに来ました。大学の Centennial Hall で公演です。この劇場も良く知っているところで、劇場の周りの樹木にミツバチが来たりフクロウが来たりしたことがあります。10月19日公演し、翌日ロサンゼルスに移動しました。数日後、大学内で学生が銃を乱射して死傷者が出る事件が起きました。のどかな明るい大学なのですが、困ったものです。ロサンゼルスではカリフォルニア大学の Royce Hall で公演です。この劇場も良く来るところで、スタッフもほとんど顔見知りです。22日ワークショップ、23~25日公演、翌日帰国。10日間ほど日本にいるので、この間に富山の家の周りの杉の木を切ったり、外にあるものを取り込んで冬支度をしました。

11月7日、カナダのオンタリオ州オタワに来ました。雪が積もって綺麗です。運河近くのナショナルアートセンター Southam Hall で11月9日公演しました。今回カナダではこの1回だけの公演だったので、遠くからも大勢見に来てくれました。懐かしい人に沢山あって翌日帰国。
11月17日、ニューヨークに来ました。10日ほど前にオサマ・ビン・ラディンのテロ予告ビデオがマスコミに乗った影響でしょうが、ノースウエスト航空の東京ニューヨーク往復航空券が半値以下の45,000円まで値下がりしました。空席が多いだろうなと思っていたのになんと日本人で満席! 日本人はテロが怖くないのだろうか? さてニューヨークではブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージック(通称バム)の Howard Gilman Opera House で19・21~24日の5回公演。2,000人ほど入る劇場でこの時期どうかなと心配していたのですが、8500人ほど見に来てくれました。翌日帰国。

時差の関係で11月26日に日本着。家に帰ると家内は病院、娘は実家にいました。翌27日に待望の子供が産まれました。名前が決まらないまま、4日後の12月1日、スウェーデンのストックホルムに向かいました。もう何度も公演している Dansens Hus で12月5~7日「かげみ」公演です。ここのジェネラルディレクターのヤンが今年限りで退職するのではなむけ公演です。日本に12月9日帰国し、翌日出生届を出しました。名前は麗です。

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