ユーゴ・ラシャペル #21

多文化共生
 
 日本に来てから、よく聞いた言葉があります。「多文化共生」と言います。だいたいの意味はわかりますが、実際の中身はわかりませんでした。
 去年の七夕の日、富山市の友だちと話をしました。私の経験を土台にして、日本における多文化共生と、黒部の国際化についてしゃべりました。そして、「多文化共生」という言葉の中身は、未だ現実的になっていないような印象が残りました。
 では、多文化共生とは何でしょう? 多文化共生や国際化という言葉の裏に、どんな意味が隠れているでしょうか?

■ 日本語支援ボランティア育成
 去年の4月から7月まで、日本語教室のボランティアのためのセミナーを受けました。そのいくつかに参加し、そのうちの1回は興味深く聞きました。日本に住む外国人の両親がいる子どもの話です。つまり、私のような人についてです(私にはフランス語の両親がいて、最初は英語圏で育ちました)。しかしその話には、理解できないところがありました。
 講師は、外国人の両親がいる子どもならば、「日本語と両親の言葉を両方とも自由に使える」人を育てたいといっていました。両方できるようになるのは当たり前だと思って、そうなる努力をして欲しいと語っていました。
 これは、私の経験と全然違います。私の経験では、子どもたちは住んでいる国か地域の言葉をちゃんと習得してから、両親の言葉はその後で覚えようとします。しかし、両親の言葉はなかなか上手にならない子どもが多く、忘れてしまう子どももたくさんいます。つまり、住んでいる地域の言葉が優先で、同時に修得するのは難しいのです。
 つまり、中心となる言語があって、残りの言葉は特別な役割を持っているのですが。バイリンガルを作るには、まずひとつの言語を基本にした上で、他の言葉にたくさん触れないとなかなか上手になりません。日本の教育では絶対に無理なことです。ですから、帰国子女(海外で一旦育てられた日本人の子ども)や外国人の両親を持つ子どもの苦しみがよく分かります。

■ 帰国子女の経験
 先日、貴重な経験ができました。日本の帰国子女の友だちが書いている、小説の原稿です。その人の経験と本音を、興味深く読みました。帰国子女とひと言で言っても一人ひとりの経験は様々なので、みんながそうではありませんが、この筆者の経験はとても残念だと思いました。
 その経験とは、帰国子女じゃない日本人からの期待です。例えば、両方の言葉が絶対に完璧にできるという期待と、日本の習慣に自然に従うことができるという期待です。そんな無理な期待をされると、生活がつらくなります。海外でいろいろ経験してきたので、日本で当たり前だと思われていることを当たり前に思わない帰国子女は多いでしょう。実際、私の友だちはそうでした。日本に来るまでは日本と違うスタイルで気楽に生活できていたのに、日本に来ると頭の中が混乱してしまったそうです。海外で滞在したことのない日本人との関係は、なかなかうまくいかなくなってしまいました。

■ 固まりは嫌
 日本に来て、ひとつ決めたことがあります。日本語を話さない外国人の集まりには参加しないことです。日本人と他言語の人が集まっているところには参加しますが、会話が日本語じゃないとやめています。なぜならその集まりは「固まり」になりやすくて、自分たちの言語でしか話さないからです。固まりになると他との交流にはならず、日本語の教育もまったく進みません。実際、その人たちに話を聞いてみると、何年たってもあんまり自由に話せなくて、日本語しかできない人といるのが難しいそうです。「自分たちの言語だけで活動するのが楽だ」とも語っていました。

■ カナダ国籍のケベコワ人から見た日本の状況
 残念な結論になりますが、私から見ると、今のままでは全然ダメになると思います。他から聞いた話やいろんな人の経験をまとめると、大変なことになりそうです。
 問題のひとつは、日本語の教育です。少し力を入れていますが、全然足りません。共に生活するには、共通語が必要です。英語にすることもできますが、今の教育を見ると、なりません。一般の日本人は習得しませんからね(本当はできるとは思いますが……)。教育の形を見ると、絶対に無理だと思えてきます。そして、本当にこれでいいのか疑っています。
 英語じゃなければ、日本語に共通語が決まっていると思われますが、それも問題があります。日本では、言葉が自然に習得できるだろうとみんな思い込んでいます。しかし、そんなに早く習得できません。言語を習得するには時間をかけないとなかなかできませんし、残業が多く、休日不足の日本では、言語習得に時間をかけることはなかなかできません。英語も日本語も、どちらもなりません。
 それから、日本人が外国人に期待していることは何でしょう。それも聞かないといけません。でも、「外国人は日本語の挨拶の微妙さは絶対に分からない」という発言を聞くと、結局は「入って欲しくない」というように感じます。また、英語圏の文化だけで、フランス語圏や他の言語圏の文化を受け付けない態度をされると、歓迎された気持ちにはまったくなりません。両方とも黒部市内で経験したことですね。残念に思います。みんなはそうじゃないと思いますが、一部がそうだと、気分が悪くなります。

■ 私に言いに来てください
 どんな期待がありますか? 何が欲しいですか? 多文化共生や国際化は、どんな意味でしょうか? ……聞きたいです。ですから、コラーレで5月と6月、「異文化体験教室」の中で3回程度、多文化共生についてのトークをしたいと思います。
 1回目は、「カナダの多文化共生」。カナダの進んでいる多文化共生のやり方を特に紹介しますが、他の国のことも紹介したいと思います。2回目は、「日本における多文化共生と黒部の国際化」。3回目は、2回分の話をまとめて、「国際化に向けて」。今後、何をした方がいいのかを一緒に考えてみたいです。皆さんの参加をお待ちしています。

 4月の初めに、カナダから友だちが遊びに来ました。写真は、一緒に金沢城に行ったときのです。3日間うちで泊まって、金沢市と富山市、そしてもちろん黒部市を一緒に回りました。海、田んぼ、川、湯、山などを見て、黒部の何人かに会わせました。セテ・ロフォーン(楽しかったです)!
 富山市でのお花見の写真です。3月12日に黒部の桜めぐりに参加し、桜についていろいろ勉強になりました。翌日、予定が急に中止になって寂しくなっていたところ、友だちにお花見に誘われました。富山市の桜はほとんど満開できれいでした。ゆっくりのんびりできてうれしかったです。
 4月から、久しぶりに宇奈月のアーチェリー部に参加しました。今後、定期的に行く予定です。でも、写真を撮ってもらって自分を見たら、太ったな?と思いました。お腹が出ちゃっとるな?。筋トレと運動のやり直しもすることにしました。そして、私の腕に合う弓矢はないと言われて、それらの持ち方の直しも必要。写真はほとんど正しい持ち方。以前は、弓が壊れそうで怖かったそうです。

(2014年05月 COLARE TIMES 掲載)



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