ユーゴ・ラシャペル #03

ブリキの季節
 
 日本はだんだん涼しくなってきましたね。カナダの11月は、紅葉が終わりましたが、雪はまだ降りません。私にとって、もっともつまらない時期です。行事はひとつもありません。地元では、10月のハロウィーンの次のお祝いが12月に祝うクリスマスです。寒くなってきて夏のスポーツがあまりできなくても、雪が降らないので、冬のスポーツはまだできません。アメリカン・フットボールはやっていますが、私は危険過ぎると思ってるので、するのも見るのもしません。「まったくつまらない季節だな!?」と、考えやすい時期です。

 でも、まだできるスポーツがひとつあります。日本の11月は日本人にとって寒いかもしれませんが、カナダ人の私にとっては寒いと感じず、涼しくてサイクリングに最適切な時期です。暑過ぎると汗をかきすぎて、寒すぎると上着を何枚も着なくてなりませんから、涼しい11月にサイクリングします。同時に、灰色になる町並みなどが見えます。

 サイクリングが好きになった理由はたくさんありますが、その中で3つ述べたいと思います。ひとつ目は、喘息の薬になったこと。生まれてすぐ、激しい喘息をしていました。ちょっと走ればすぐ発作になってしまい、その場ですぐに薬を飲まないと入院。1週間ぐらい死にそうに苦しんでいました。でも最初に自転車に乗ったとき、喘息にならなくて、平らなら楽にできました。それが解ったとき、14歳の夏に毎日こぎました。最初に平地でゆっくりと、だんだん坂を増やしつつ速度も上げてきました。そうしたら、夏の終わり頃には簡単に坂を登れたり、速く遠くまで行ったりでき、15km離れていた友だちの家まで毎日行けるようになりました。

 ふたつ目は、手に入れた自由さです。速くこげれば、1時間で25kmまで行けるから、家から遠く行けますね。それにそんなに速くないので、ゆっくり景色も見られます。例えば、今年の誕生日は富山県にいたので、コラーレの近くの家からママチャリで、富山駅までいきました。もちろん遠かったので、往復で一日ぐらいかかりましたが、途中いろいろ見られて、富山県の東部を回れました。8号線に沿っている店がわかったし、帰りは富山湾を沿っている道にして、いろいろ発見しました。都市計画を勉強しようとした私には面白いことです。疲れますが、楽しくてもっと遠く往こうと思います。今度は高岡か、石川県の金沢までか!?

 最後3つ目は、父との関係がよくなったことです。子どもの頃、父との関係はそんなにうまくいっていませんでした。私はアタマの人で、父はカラダの人でした。つまり、私は科学や美術など脳を使うことの方が好きで、父はスポーツなど腕や力を使うことのほうが好きでした。どんなこともほとんど一緒にできませんでした。でも、自転車に乗ることが好きになることで、一緒にいろいろな所に行けて、私も父も楽しかったです。父は力を出すことができ、私は景色を見ることができました。そして旅行をすることでひとつずつ、仲がよくなってきました。もちろん、今でも基本の性格は変わらず、父がカラダで私がアタマですが、少しは互いに理解あえるようになりました。

 喘息が治ったし、自由さを感じられるし、父との仲がよくなったし、いろんな理由でサイクリングが好きになりました。もちろん、11月に限らず、雪が降らないうちにいろいろ行きたいと思います。町並みが灰色でさびしそうですが、自転車に乗って走りながら、町並みを見ていきます。そうしたら、日本の都市のでき方をもうちょっと理解できるようになります。黒部市でも、ほかの所でも、いろんな場所で会いましょうね。

 長野県にあるJR最高地点の神社「鉄道神社」。日本の公共交通は地元(カナダ)よりずっと便利。どうやってできたかな、それを研究。

(2012年11月 COLARE TIMES 掲載)



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