Vol.60

「山海塾」秋2019ツアー
アメリカ


 7月下旬にアメリカ用舞台装置のパッキングを終え、カルネ用リストも輸送代理店に提出したのですが、9月に入っても運送の連絡がありません。9月23日にはブラジルに出発しなければならないので、代理店に連絡したところ、台風15号に絡んでシッピングの段取りが取れなかったので飛行機で送りたいとのこと。20フィートコンテナー1台分の容量を飛行機で送ると、とんでもない料金になります。輸送するより現地で手配した方が安く済む物品を除外して、飛行機で運べるようパッキングをやり直しました。9月20日、富山倉庫から荷出し、24日東京で銀行関係の仕事をしてから成田空港へ。今回のアメリカツアーはブラジルのサンパウロから始まります。アメリカのダラスで乗り換え、27時間かけてサンパウロに到着。2019年6月からビザが要らなくなりました。

 アルファ劇場には、フランスから新作「ARC」の舞台装置を送ってあります。何度も公演している劇場なのでスタッフとの関係も良く、順調に仕込んで9月28・29日夜「ARC ― 薄明・薄暮」公演。30日は午前中から百木、岩本を伴ってサンパウロ市内の芸術センターで2時間のワークショップ。英語で説明するのですが、中心的な人がポルトガル語で通訳したいと言うので相談していると、参加者の中に日系3世が二人いて日本語でも良いと言うので、井田マリアという女性に通訳してもらいました。

 次の作品に出演しない高瀬をブラジルに残し、夜のフライトでアメリカのロサンゼルスに翌朝到着、バスでカリフォルニア州南部のサンタバーバラへ。ここで日本から来た岩下と合流。行程表を見ると翌日「10月2日10:00〜10:15AM Introduction to UCSB Dance Students」とあるので、誰かが山海塾の紹介を15分間やることになっています。ツアーマネージャーに誰がやるのか尋ねたら、「あなただ」というので「通訳はいるのか?」「どんなところで話すのか?」と心配になりました。翌朝、ツアーマネージャーと二人で、カリフォルニア大学サンタバーバラ校の職員に連れられて大学に向かう車の中で打合せ。通訳はいないが、インターネットに接続して山海塾が公開しているビデオ映像にアクセス、投影できるというので、公演「MEGURI」と「ARC」を選んで投影し、合間に話をすることにしました。講演会場は400人規模の講堂で、教授たちに挨拶されて壇上へ。何を話したか覚えていませんが、終わりの挨拶をすると拍手が来たのでほっとしました。


 10月3日朝9時から、グラナダ劇場で仕込み開始、午後1時から百木、岩本と3人で学生相手にワークショップの後、劇場に戻って仕込み続行。翌4日夜8時、「MEGURI ― 海の賑わい 陸の静寂」公演。岩下は20年ぶりに北米の山海塾公演参加となりました。

 10月5日早朝、バスでロサンゼルスに移動し、10時から仕込み開始。ここで照明の岩村と合流。ブラジルから照明を担当していた鈴木と交代します。カリフォルニア大学ロサンゼルス校のロイスホールは奥行きが短く、毎回舞台装置をアレンジして設営するのですが、今回は舞台を1m35cm短くしました。大学の近くに新しいホテルができ、徒歩5分ほどで到着します。10月6日夜7時、「MEGURI」公演。翌日、演出の天児と照明の鈴木が帰国、制作の高井とスーパーバイザーのダグがツアーを離れました。私と百木、岩本の3人は、7日と8日に、学年違いの学生相手にワークショップ。ジョギングしようと思いスマートフォンに現地地図をダウンロードして走り始めましたが、案の定迷子になり、スマートフォン頼りにホテルに戻りました。知らない土地ではこの方法はとても有効です。


 9日、新しいスーパーバイザーのテレサを伴ってサンフランシスコのバークレイに移動。カリフォルニアではだいぶ前から山火事が続いており、九州に匹敵する面積が焼けていました。その影響で大学が計画停電を実施し、10日に予定されていたワークショップが中止になり、舞台仕込みも危ぶまれました。11日、予定通り Zellerbach Hall で仕込み開始。12日夜8時、13日昼3時、「MEGURI」公演。13日午前中に一般の人相手のワークショップを行いました。リベラルな人が多く、学生とは違った多様な雰囲気です。ワークショップに何度か参加しているシンガポール人も来ていました。

 10月14日シアトルに移動。15日夜は知人の石渡宅に全員招待され、地元の蟹と松茸で鍋を囲んでホームパーティー。10月16日朝、仕込み開始。夕方、劇場を抜け出して、百木、岩本と3人でワークショップ。17・18・19日夜8時、ワシントン大学の Meany Hall で「MEGURI」公演。

 10月20日、アイオワシティへ移動。アイオワ大学ハンチャー・オーディトリアムは20年前、「HIBIKI ― 遥か彼方」の共同プロデュースを行ったところで、奇しくも来年その作品をリ・クリエーションする予定です。劇場は2008年の大洪水で壊れたため、新しく建て直されました。ここはシアトルから数千km離れているため、トラックは時間的に間に合いません。衣裳、化粧品、舞台美術を4つのスーツケースで運ぶことが出来る「UTSUSHI」を上演します。私は出演しないのですが、演出スタッフとして忙しいのでワークショップは行いません。10月22日夜7時半、「UTSUSHI ― あわせ鏡のはざまで」公演。


 10月23日ミシガン州アナーバーへ移動。翌24日朝からミシガン大学のパワーセンターで仕込み。午後に急遽追加になったワークショップでは、今年入学したという日本人の男性が参加していました。25日夜8時「MEGURI」公演。26日午後ワークショップ、夜8時「MEGURI」公演。ツアー最終日なので、公演終了後は舞台装置を20フィートコンテナーに積み込み、深夜ホテルに戻りました。翌朝5時ホテル出発ですので、急いで私物をスーツケースに詰め、3時間ほど就寝。

 早朝、デトロイト空港でツアーマネージャーのパッドと別れ、乗り換えのダラス空港へ。30分で東京行きの搭乗口まで行かなくてはならないのですが、到着ターミナルと違うビルまで電車で移動しなければなりません。出国手続きを考えるととても間に合わない気がしますが、とにかく全員離ればなれにならないよう気を付けて移動し、時間通りアメリカン航空の搭乗口に着きました。出国審査カウンターを通っていません。飛行機に搭乗する手前にタブレット型端末のような機械が設置されていて、その前に立つと顔が映し出され、緑のチェックが入ると通過OKです。アメリカに入国する時、顔写真と指紋を採られているのですが、どうやら入国管理局に繋がっていて顔認証しているようです。

 今回は北米西海岸の都市やカナダでの公演が無かったので、1ヶ月余りという少し短いツアーとなりましたが、出発直前のエアーカーゴ用パッキングと現地でのワークショップの多さで忙しいツアーだったように思います。


写真上)カリフォルニア大学ロサンゼルス校のロイスホール
 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)は、スポーツなどのクラブ活動も盛んで、文武両道の点でも有名なアメリカを代表する大学。4万人以上の学生が通っている。ロイスホール(Royce Hall)は、大学のシンボル的存在。キャンパスの中でも最も古い建物で、重厚感あふれるレンガ造り。

写真中)カリフォルニア州バークレー
 料理を配達する出前(フード・デリバリー)ロボット。カリフォリニア大学キャンパスとその周辺を走る姿は、すでにおなじみの風景になっている。

写真下)ミシガン州アナーバーの
 ハロウィン風景。お店だけでなく、住宅を飾る家も多く、街はハロウィン模様になる。カボチャだけでなく、モンスターやガイコツなど、デコレーションに凝った家も多い。

(2019年12月 COLARE TIMES 掲載)


 


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