Vol.31

2004年新緑 ベルゲン 〜 ノルウェー


 アイスランドのブルーラグーンで命の洗濯をしてから一夜明け(暗くならないので一晩中うたた寝をしている感じ)、朝5時20分ホテル出発。ずっと持ち回っていた衣裳は舞台装置と一緒にエアーカーゴで送り出したので身軽です。今頃何処にいるのかな〜。
 オスロ経由で夕方、ベルゲンに入りました。世界的に有名なベルゲンの音楽祭で、10年以上前にも参加したことがあります。その時はタッパのない劇場で搬入口も段差があり大変な思いをしたのですが、スタッフがすばらしく、ハードの問題点をソフトでクリアしていく感じでした。昔ハンザ同盟の基地があったところで、そのころの建物も残っています。トロールという怪物の人形や絵本が土産物屋に沢山置いてあります。
 今回は古い国立劇場での公演です。古いタイプのオペラハウスで間口が8.5メートルしかありません。山海塾の歴史上、もっとも間口の狭い劇場での上演です。当然舞台装置は定形では置けません。踊るときの歩数や位置関係もかなり変わります。劇場そのものはとても美しく、外観はまるで美術品です。内部の客席やロビー、客の来ない楽屋裏まで小さな城のように造りに凝っています。そうなると当然客席側のフロントライト、シーリングライトは期待できません。ですが、この劇場はちょっと変わっています。まず吊り物バトンや照明バトンがアルミ製の角パイプで出来ています。パイプを延長したり曲吊りをしたりするときに、別のパーツをジョイントしやすくしているようです。照明機材もモーターが組み込まれてオートフォーカスが可能な、コンピュータで制御する機材が多数仕込まれています。こうすると少ない機材を景ごとに使い回すことが出来ます。壁に何カ所か穴が空いていて、掃除機のホースをジョイントすると吸引を始めます。奈落や壁の裏を狭い通路や階段が通っていて、いきなり客席ロビーや小劇場の舞台袖に出たりします。かなり怪しい雰囲気の劇場なのです。
 5月23日、仕込み初日ですが、レイキャビックからの舞台装置が届かないので、照明と幕の吊り込みをして終了。
 24日、朝9時オスロで舞台装置の通関が切れたから、これから陸路ベルゲンに向かうと連絡が入りました。海岸線はフィヨルドの入り組んだ道、山道は未だ雪が残っています。午後3時に着くというのですが、ちょっと無理ではないかと思いました。結局、午後4時頃に到着したのですぐに仕込み、その日の内に遅れていた作業を取り戻すことが出来ました。「ひびき」は山海塾の作品の中でも、立て込む大道具が少ない作品だと言うことが幸いし、待っている間に幕類や照明の仕込みを先行させることが出来たのです。
 5月25日「ひびき」公演。観客600人。終演後舞台袖にあるクイックチェンジ用の小部屋の壁が突然開いて、フェスティバルのディレクターと共に日本人が現れました。オスロの日本大使館から来た文化担当の人です。遠く離れているので日本大使館には連絡しておらず、少し驚きました。壁が突然開いたのにはもっとびっくりしました。
 26日、前回高くて買えなかったトロールの人形を是非買いたいと、土産物屋を回っていると若い日本人女性の店員がいました。ベルゲンに留学して、この町が気に入ったので卒業後もとどまっているそうです。小さいトロールの夫婦の人形を一組買いました。
「ひびき」公演2日目、観客600人。翌日、早朝4時45分、衣裳を携えてホテル出発。オスロ、パリを経由してポルトガルのリスボンに向かいました。

(2005年06月 COLARE TIMES 掲載)




「COLARE TIMES 編集室」へ ― 「ラレコ山への道」トップページへ ― ホームへ