Vol.24

2003年春 北ヨーロッパ


 クロアチアでの「ひびき」公演を終え、翌朝飛行機でパリ経由でアムステルダムに行き、バスでデンハーグに着きました。オランダの王宮や国会があり、閑静な町並みですが、初めて訪れる町です。日本では単にハーグと呼んでいるかもしれません。劇場は「ZWEMBAD DE REGENTES」という名前です。ビルの中にあり、どこが入口なのかわかりにくい造りなのですが、以前市民プールだったところです。楽屋は脱衣場やシャワー室が使われ、プールの中に舞台床を張ってあります。奈落がプールの底です。幼児用プールがウォーミングアップ用のフロアとなり、飛び込み台の下はカフェテリアになっています。競泳の観客席はそのまま客席となっています。ここで「うねつ」という作品を上演するのですが、舞台全面に水を満たしてプール状にしてその中で踊る作品なので、なんだか不思議な気がします。日本だったら綺麗に取り壊して、新しく躯体から造るでしょうが、手間暇かけて以前の雰囲気をそれなりに残しながら劇場にすると、観客や出演者に対しても歴史的なエネルギーを与えることが出来るような気がします。
 5月31日、6月1日「うねつ」公演。翌日は休みだったので海に行ったのですが、とても風が冷たかったです。海へは路面電車で行ったのですが、線路の周りは草が茫々と生えていて町の中の虫のすみかのようでした。日中は自由行動でぼうと過ごし、夜は全員でチャイナタウンのレストランで食事をしました。
 6月3日、バスで北フランスのルーベへ移動。いったん日本に帰国していた岩下も合流したのですが、フランスで大規模な国鉄のストライキが行われたので予定の電車は動かず、ちょうど我々の舞台装置を積んだトラックがパリを出発する日だったので、そのトラックに乗って来てもらいました。ルーベは衣服などの通信販売で有名な町だそうです。町中に買い物客相手の商店街があり、パリより2〜3割安く買えるそうです。そう聞くとついよけいな物まで買ってしまいそうになるのですが、確かに安いサムソナイトのバッグを買いました。「LE COLISEE」という劇場で6月6〜7日「かげみ」公演。
 翌日、バスでロンドンへ。久しぶりにカレーとドーバーを結ぶフェリーに乗りましたが、この港でもEU統合の結果税関事務所が無くなり、ドーバー海峡を海底トンネルが通り、ユーロスターや貨物列車(車やトラックも乗せる)が通るようになったためすっかり寂れてしまいました。ところで日本やイギリスではドーバー海峡と呼びますが、フランスではカレー海峡と呼びます。ロンドンではもうお馴染みのサドラーズウエールズ劇場で公演です。5年ほど前に立て替えたばかりなので、いろいろ新しいシステムが導入されていますが、その一つに舞台上のバトンを動かす操作卓がA3ほどのパソコンのようになっていて、操作する人がそのバトンの見える位置まで袖中を移動してキー操作します。モニター画面には立体的な図面が表示されていて、実物が動くと画面の中のバトンも動き高低位置や早さは数字でも確認できます。6月10日から14日まで連続5回「かげみ」公演です。チケットはほぼ完売状態なので、あまり公演の宣伝を見ません。前回のロンドン公演で知り合い、4月のパリ新作の時に衣裳の制作に来てもらった川島さんに、バレーのドレスの芯にする特殊なワイヤーと大きなカギホックを頼まれていたので劇場の人に調べてもらいました。地図のコピーまでくれて説明してくれたので行きは地下鉄のBOND STREET 駅からすぐに着けたのですが、帰りの乗換駅が工事中だったりなぜか止まらず通過したりしたために結構手間取りました。5月に一時帰国した3人以外はロンドンから直行便で帰国し、私を含めた3人がパリへ飛行機で戻り、16日月曜日、トラックの荷物を降ろして日本公演に必要な物をパリのヤマト運輸に運びました。
 6月18日に日本に到着し、迎えに来ていた7ヶ月になる娘は泣き出すだろうと言う大方の予想を裏切って、にこにこしながら抱っこしてくれとせがみ、みんなに賢い子だと褒められていました。
(2004年08月 COLARE TIMES 掲載)



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