ラレコ山への道 小野木豊昭 古典空間への誘い

【其の六拾九】打てば響くゆえ

2011年11月
近年、日本の太鼓と関わる仕事が増えつつあります。
今夏だけでも、江戸で生まれ東京に受け継がれてきた数々の太鼓の競演「夏・東京の太鼓」(東京文化会館大ホール/主催:東京都、東京文化発信プロジェクト室)の制作サポート、関東地方の高校生たちが競う太鼓コンクール、第2回「関東和太鼓選手権」の審査員、(財)荒川地域振興公社の皆さんと進めている兄弟ユニット『は・や・と』コンサートの制作、来年早々行われる愛知県のさる公共ホールで企画されている太鼓フェスティバルのプロデュース等々。そこで、プロ・アマ問わず実に多くの太鼓グループ、太鼓奏者の皆さんとご縁ができました。

三兄弟で結成した和太鼓ユニット『は・や・と』
「打てば鳴る」単純な楽器だからこそ、地域性や打ち手によって観せ方、聴かせ方は大きく異なり、その個性が際立って表れます。現在、全国各地に無数の太鼓グループが生まれ、海外でも数百のグループが活動していると聞きます。
これらのベースになっているのが、各地の郷土芸能で不可欠の存在である“伝統的な型”を持つ太鼓です。一見単調なリズムに聞こえますが、厳しい時代の波を越えて伝承されてきた芸能を支える力強さを有した響きは、人々を高揚と陶酔に導きます。

“太鼓=伝統芸能”と思われがちです。しかしながら、「創作太鼓」「組太鼓」などと言われる現代的な太鼓の世界は、伝統的な日本の打楽器である太鼓こそ用いますが、郷土芸能等をベースにしながらも時代のフィルターを通して自由にパフォーマンスを構築している、むしろ「新しい芸能」と言えるのです。

太鼓そのものを打つだけのパフォーマンスに徹する奏者もいれば、和洋の様々な楽器を採り入れて音の幅を広げている奏者たちもいます。音楽面のみならず、ダンスや舞踊さらに演劇的要素を融合させ、ビジュアル面をも彩ったオリジナルティ溢れる演目を次々と発表しているグループも数多くあります。強烈なメッセージを込めたアーティスティックな方向性もあれば、エンターテイメント性に磨きをかける展開もあり、その可能性は無限大です。

三兄弟で結成した和太鼓ユニット『は・や・と』
また、太鼓という楽器は、単純ゆえに楽器そのものがじゃじゃ馬の如く自己主張するとも言われます。したがって、長時間のリズムキープを可能たらしめる体力を養成し、いかに太鼓をコントロールし切るかが腕の見せ所でもあります。「この一打ちで会場の空気を変えてやる!」という気合の有無も、聴衆・観客と一体化できるか否かの大きな分岐点です。

「伝統芸能」という捉え方ではなく、「日本が未来に向けて、世界に向けて発信する、日本の伝統的な打楽器・太鼓を用いた新時代のパフォーマンス」と受けとめてみてください。あらためて太鼓の世界に対する興味は倍増することでしょう。

ちなみに、私は普段から極力「和太鼓」という表現は避けています。「和風」「和物」「和食」「和服」……たしかに「和=日本」なのかも知れませんが、日本に居ながら殊更に日本を意識しなければならない現状にこそ抵抗を覚えるのです。しかし、そんな現実をもしっかりと受け止めつつ、「和」を付けなくても“日常当たり前にある”楽器、音楽、芸能にして行きたいがため、敢えて自らに課している「カセ」なのです。

オリジナリティと若さ溢れるプロとして活躍する太鼓奏者、太鼓グループが続々と!(写真は、三兄弟で結成した「は・や・と」)


(2011年11月 COLARE TIMES 掲載)
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