ラレコ山への道 小野木豊昭 古典空間への誘い

【其の伍拾八】島からのメッセージ

2009年12月

今日の不況は、“文化シーン”にも大きな影響を与えています。年末年始に都内各所で行われる様々なイベントのアトラクションとして、数々の邦楽器の演奏が行われてきました。時期としてはちょうど今頃(11月中旬)から広告代理店やイベント会社からオファーがあります。しかしながら今年は1件も……真っ先に削減対象になっているとの情報。全国各地の公共施設における自主事業予算や、国や各種財団からの助成金の大幅削減も来年度に向けて現実的です。
明日の生活に活力を注入し、ひいては地域や国家の繁栄に貢献するのが「文化」なのではないでしょうか。文化の持つ意味を今一度、皆で考える絶好の機会にしたいものです。

この状況下、公共ホールの展開として、ホールで行う鑑賞事業のみならず、小空間でのレクチャーやワークショップ、そして訪問公演などのアウトリーチなど、コンパクトな枠組みで実施できて、しかも文化発信に意義のある事業が全国的に行われ、高い評価を得ています。「クラッシックのエントランス」こそ、そんな展開の先駆けとなった企画なのです。アーティストの魅力を様々な角度から味わえることもすばらしく、さらに「邦楽」にとって、小空間、少人数こそ、その魅力を伝える条件としては最適なのです。

8年前、沖縄の音楽シーンを牽引してきたユニットのひとつである「パーシャクラブ」のライヴを最前列で喰い入るように観ていた若者がいました。ライヴの後、新良幸人(あら・ゆきと)に誘われた飲み会の席で紹介されたのが、池田卓。プロとして走り出したばかりの初々しさが印象的でした。「いつか一緒に仕事ができたらいいね!」そんな会話を交わしたことが鮮明に思い出されます。
沖縄本島よりさらに南、八重山諸島・西表島の船浮。陸路がなく、向かう手段は船のみ。たった数十名の集落で生まれ育った池田卓。本人の口から語られる生い立ちの記、そしてその体験をもとに作られ、三線弾き語りで熱唱される歌の数々は、現代社会を生きる私たちが忘れ去ってしまった大切な何かを確実に揺り戻してくれるようです。

圧倒的な自然と筆舌に尽くし難い歴史を有する沖縄や八重山にとって、音楽や踊り……つまり芸能の存在とは何かということを、池田卓というフィルターを通して体感してみてはいかがでしょうか。爽やかで熱くてカッコよくて、そして彼の純なココロに触れた時、遠いはずの沖縄が、グッと貴方に近づくはずです!

三線を弾き微笑む池田卓さん

池田卓

(2009年12月 COLARE TIMES 掲載)

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