ラレコ山への道 小野木豊昭 古典空間への誘い

【其の八拾六】「とやまのたから2015」を見つめて

2015年12月
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3月14日、待望の北陸新幹線開業。文字通り、北陸の経済、社会構造からイメージまでをも一変させる出来事でした。コラーレ正面の大型ショッピングセンターを眺めると、誕生した20年前の様相とは隔世の感があります。結果的には、直接的な恩恵を受けたまち、変化がなかったまち、長期的にはマイナスの影響が想定できるまち……早くも表出する様相に悲喜こもごものようです。

金沢の“一人勝ち”を横目に見るだけではなく、黒部宇奈月温泉駅、富山駅、新高岡駅の三駅でいかに乗降客を増やすかが、富山県の課題と言えるでしょう。この出来事を恩恵とするための具体的な方策は、早い段階で立てて長期的視野で実行するに越したことはありません。

10月18日(日)、コラーレのカーターホールにて「とやまのたから2015 砺波×黒部」が開催されました。「富山県の貴重な文化遺産を県内外に広く紹介する」ことを目的に、コラーレが富山県公立文化施設協議会と共同で行った事業。砺波市の「出町子供歌舞伎」を支える浄瑠璃(義太夫節)と黒部市の「明日の稚児舞」、子供たちが主役の無形文化財にスポットが当たりました。共に神事であり地域を守護する神々に捧げる芸能として、まちの先輩方の厳しくも愛情に満ちた日頃の指導に向き合った子供たちの、愛らしく眼を見張るような舞台に接し、ご覧になられた方は、民俗芸能大会や単なる“発表会”とは大きく異なる何かを感じたはずです。本来、劇場やホールのステージで演じられる性質のものではなく、まちの寺社境内などで奉納されるものであり、地域の風土や歴史、文化を背負っているからに他なりません。

ゆえに今回の主役は、実はこれらの素晴らしい芸能を生み育んできた「まち」だったのです。子供たちの演技の前に、出町と明日の「まち」を紹介する映像が上映され、ロビーでは地域の物産の紹介と販売も行われました。こうした文化を継承している「まち」そのものが“とやまのたから”なのではないか、という視点で企画立案し、コラーレ・スタッフの皆さんが制作した公演だったのです。

富山県各地域が誇る数々の無形の文化遺産を擁する「まち」こそ、訪れる対象なのではないでしょうか。実際の神事やお祭りで、コラーレで愛らしい演技を見せてくれた子供たちが、今度は「まち」と一体となって演じている姿を、一人でも多くの方々が見てくださることに大きな意義を感じるのです。

いつ見ても幻の如き美しさの立山連峰、おいしい空気や豊富な水、何といってもお米、県内各所で醸造される美酒、そして富山湾で獲れる鮮魚、たまに来るよそ者の私は、それだけで身勝手に感激しています。しかし、それだけではありません。文化“遺産”ではなく未来への資産として受け継がれてゆくべき「たから」は、気が付かないだけで案外身近にあるのではないでしょうか。「無いものねだり」ではなく、少しだけ気力を要しますが「あるもの探し」をしてみてもよいのかも知れません。

[写真]明日の稚児舞は、神の使い手としての子供たちの足を地に着けないため、大人の肩に乗って客席から登場。




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