ラレコ山への道 小野木豊昭 古典空間への誘い

【其の参拾九】今、あらためて津軽三味線考!

2006年2月
 今季の寒さは実に身に凍みます。豪雪の被害に遭われた皆様には心からお見舞い申し上げます。

 寒さといえば、「寒風吹きすさぶ絶壁に打ち寄せる荒波、そして鳴り響く津軽三味線!」こんな光景を思い浮かべる方も多いのではないかと思います。……が、まずありえません! いくら頑丈な津軽三味線でも、温度変化と湿気を多く含む海風に三味線の皮は容易に破けてしまうでしょう。そしてカジカンダ指では糸を押さえることも弾くこともできないでしょう。

 数ある三味線の中でも津軽三味線の人気は衰えを知りません。若くて優秀な演奏家も多く輩出し、北は北海道から南は九州に至るまで多くの愛好家を生んでいます。その隆盛の背景を二つ。まず、何と言っても津軽三味線の演奏上、第一の特徴といえる<即興性>。例えば『津軽じょんから節』。「じょんから節」と定義される基本的な音階とリズムを踏まえていれば、あとは個々の演奏家の味付けに任されます。伸縮自在。その日の気分によって演奏も変わります。同じ演奏家に以前と同じ演奏を要求しても再現不可能なのです。演奏上の「~ねばならぬ!」「~べきだ!」が少ないから個性的かつ自由な音楽的展開が望めます。そこで、現代的センスを持った演奏家はそのセンスを自らの演奏に反映でき、聴衆の心を捉えるのです。次にその<歴史と現代性>。明治期に津軽地方で誕生した津軽三味線は、最も新しい種類の三味線と言えます。本来は津軽地方の民謡の伴奏楽器として使われていましたが、三味線だけで演奏される民謡の前奏(前弾き)部分が独立し、個人の演奏技術と音楽性が前面に出る独奏楽器としてのポジションを確立しました。家元制度も存在する中、現在では数々のコンクールが催され、そこでの実力の評価が演奏家としての活動の場を広げています。結果として「個性と実力」による勝負を可能にしているのです。ストラップ付エレキ三味線を駆使する金髪のイケメンプレーヤーが自らのバンドを率いて……津軽三味線というジャンルだからこそ可能な展開なのです。

 1989年、津軽三味線発祥の地、青森県で行われた「津軽三味線全日本金木大会」で、個性と実力を備えた二人の女性奏者が出遭いました。互いに切磋琢磨し意気投合した二人は10年後ユニットを結成。その名は『あんみ通』。小柄な身体からは想像もできない力強い音色を奏でる安仲由佳。三味線は言うまでもなく民謡歌手としての実力も折り紙つきの金田一公美。明るく前向きな二人は沖縄でストリートライブを敢行するなど、日本全国、さらに世界十数カ国を巡り、世代を越えた現地の人々と心温まる交流を重ねました。そして各地で彼女たちの“心の印画紙”に写った事象から、楽しくもユニークな楽曲が数多く生まれました。日本の伝統音楽にスポットライトが当たる以前から新風を巻き起こしてきた『あんみ通』。

 そんな彼女たちが黒部に初登場します……つづく!

あんみ通(津軽三味線ユニット)の安仲由佳さんと金田一公美さん クラシックのエントランス あんみ通(津軽三味線ユニット) 2006年3月19日(日) 開演14:00 コラーレ(マルチホール)

(2006年02月 COLARE TIMES 掲載)
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