ラレコ山への道 小野木豊昭 古典空間への誘い

【其の弐拾参】ザ・忠臣蔵ナイト<2>唸って語れば、絵が見える……これぞ日本の語り芸!

2002年12月

 「唸って語れば、絵が見える!」これこそ我が文化が誇る【語り芸】のキャッチフレーズです。「何が何して何とやら、それからああなって、こうなって……」目をつぶっていても、そんな語りを聴いているだけで、情景が頭や心に浮かんできて、ワクワクしたり、ドキドキしたり、嬉しくなったり、悲しくなったり……。想像力を喚起してくれる芸能なわけです。現代社会は、24時間“電気がついて”います。東京の都心なんて真夜中でも暗闇を探すのが難しい! 四六時中“見えている”。見えているからワカって納得してしまう。納得したらもういいじゃないですか、そこで完結です。逆を言えば、見えないからこそ「どうなってるんだろう? こうかも知れない? ああかも知れない!?」と想像(imagination)をたくましくする。そして「じゃ、こうしてみよう、ああしてみよう!」と新たな創造(creation)が生まれるわけです。

 義太夫節。今から約300年前、近松門左衛門の書いたシナリオを、ドラマチックに語り、モノ言わぬ人形を動かしドラマを進行させていった名ナレーター竹本義太夫。彼の名がそのまま芸の名となり、今では三味線をともなう語り芸=浄瑠璃の代名詞となっています。豪快かつ繊細な響き、太棹の義太夫三味線と二人三脚で数々の名作を生みだしてきました。「仮名手本忠臣蔵」も初演はもちろん人形浄瑠璃です。

 落語。かつて庶民の娯楽の殿堂であった寄席。言わずと知れたその寄席芸の代表です。大道具も小道具もいらない。扇子一本と手拭いで、ときに二千人のお客様のお腹の皮をよじれさせたり、涙をしぼり取ったり……何と安上がりな芸なんでしょう! でも安く上がれば上がるほど、その芸の仕込みには多大なる資本がかかっているのです。

 浪曲。様々な先行芸能を貪欲に吸収し、明治末期に桃中軒雲右衛門が劇場に進出したことで爆発的なブームを呼び、国民的エンターテイメントに成長しました。三味線をともなう語り芸の中では最も新しいものです。そのわかりやすさとテンポ感は、今聴いても絶対カッコイイ。

 たった一人で老若男女や喜怒哀楽、様々な情景を語り尽くし、現代を生きる私たちに<想像力→創造力>を喚起してくれる【語り芸】に、今思いっきり「騙られて」みませんか?

(2002年12月 COLARE TIMES 掲載)

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