ラレコ山への道 小野木豊昭 古典空間への誘い

【其の壱拾九】平成三味線三昧

2001年10月
 三味線がブームだといわれて久しいものがあります。最近のテレビCMでは頻繁に三味線が登場したり、吉田兄弟のCDが爆発的に売れたり(2枚合わせて18万枚! フツー、邦楽の世界では1,000枚売れればまずOK)、……三味線の話題には事欠きません。しかしよくよく眺めると”ブーム”といっても、それは「津軽三味線」のブームであることに気がつきます。津軽三味線は「即興演奏」が基本です。例えば「じょんから節」といっても演奏者によってまったく違う曲に聞こえたり、同じ演奏者でも以前と同じ演奏はまずできなかったりします。「じょんから節」の基本的な「手」を基に自由に展開します。譜面 はありません。つまり、演奏者のフィルターを通してメロディーが紡ぎ出される以上、その演奏は「今」を表現しているはずです。津軽三味線には数々のコンクールがあります。優勝者した10代20代の若い世代が肩書き無用の活躍をしています。彼らからは「○×流」とか「○×一門」などの重っくるしさは感じません。エレキ三味線に金髪と革パン。音楽は本来自由なはずです。津軽三味線ブームの背景が見えてきます。

 そんなわけで、三味線といえば津軽三味線をイメージする方が多いのではないでしょうか。しかし一口で三味線といっても実に様々な種類があります。とかく一面 的に物事を捉えてしまいがちな私たち日本人ですが、このブームをきっかけに三味線に対する視野を広げられることをお勧めします。いろんな顔があってこれが実に面 白い。その歴史、素材、構造、奏法すべてが異なるのです。津軽三味線の名人でも長唄三味線は弾けないことをご存じですか? 和楽器なのに糸以外の素材はそのほとんどが外国産なのご存じですか? 義太夫、常磐津、清元、新内、小唄、端唄、地唄、古曲……、これら様々なジャンルの音色はCDで手軽に聴くことができます。三味線を手にすることも簡単です。通 信販売で¥39,800也で購入できます。(実は先日試しに買っちゃいました。ギター感覚で遊ぶ分には十分で今ハマッテます)

 先日ニューヨークでとんでもない事件が起こりました。正直暗澹たる重いでいます。現代の人間社会において、なぜあんなことが起こるんだろう? テレビの画面 を見つめるだけで何もできず、わけもわからないでいる自分が情けなくなりました。アラブ社会の事やイスラム文化の事を調べてみました。表面 的なことは物の本で知ることはできます。しかしそこに生きる人たちの気持ちや精神的背景は理解しようがないのでしょうか。異文化に近づくためにも、もっともっと自分の背負っている文化を理解しなければ、とあらためて感じています。

(2001年10月 COLARE TIMES 掲載)
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